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既知
「既知〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
既知の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
だった。よれよれの五十銭札みたいに使い古された陳腐な言葉の助けを借りて、何もかも
既知の事実にしてしまうという観念の衣裳をまとわぬナイーヴな子供の感受性を、京吉は....
「科学者と芸術家」より 著者:寺田寅彦
また将来も実現する事のありそうもない抽象的な条件の下に行なわるべき現象の推移を、
既知の方則から推定し、それからさらに他の方則に到達するような筋道は、あるいは小説....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
が、しかしかえってこれらの最も古い考え方の中に進化論(すなわち、本来行われ来った
既知の諸自然力の影響の下に宇宙の諸過程が自然的に進展するという学説)の胚子のよう....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
が、その響には人生の平凡を寂しがる憾みもなければ、絶望から弾ね上って将来の未知を
既知の頁に繰って行こうとする好奇心も情熱も持っていなかった。 「そんな人生に消極....
「河明り」より 著者:岡本かの子
ただ一人この中老人の社長を便宜に頼んだ。それは次のような理由で未知であった社長を
既知の人であったかのようにも思ったからである。 私が少女時代、文学雑誌に紫苑と....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ハ支倉君、実は君の云う海王星が、この壁の中にあるのだよ。だって、あの星は最初から
既知数ではなかったのだからね。憶い出し給え、古代時計室にあった人形時計の扉に、い....
「知と疑い」より 著者:寺田寅彦
い事である。自分が色めがねをかけているかいないかを確かめるためには、さらに翻って
既知の自然を省みまた大いに疑わなければならぬ事はもちろんである。 疑わぬ人はは....
「自由画稿」より 著者:寺田寅彦
私には思われた。どんな瑣末《さまつ》な科学的知識でも、その背後には必ずいろいろな
既知の方則が普遍的な背景として控えており、またその上に数限りもない未知の問題の胚....
「黄金虫」より 著者:佐々木直次郎
らわされているo、u、gという三つの文字を僕たちに与えてくれるのだ。 それから
既知の記号の組合せがないかと暗号を念入りに捜してゆくと、初めのほうからあまり遠く....
「科学上における権威の価値と弊害」より 著者:寺田寅彦
うであろう。これとても決して絶対的なものではない。 つまり各部門においては現在
既知の知識の終点を究め、同時に未来の進路に対して適当の指針を与え得るものが先ず理....
「自然現象の予報」より 著者:寺田寅彦
の方法によりて予報をなし得る範囲は如何なるべきかが当面の問題なり。 先ず従来の
既知方則の普遍なる事を仮定せば、すべての主要条件が与えらるれば結果は定まると考え....
「嘘の効用」より 著者:末弘厳太郎
る。すなわち本来「未知数」たるものの値を、十分実証的に究めずして軽々しくこれを「
既知数」に置き換える点にあるのだと思います。むろん、すべての学問は仮説を前提とし....
「安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
する可能性の多少が、諸条件に積極的に作用する力もあって、そのような必然的なもの、
既知的のものは、文学上の探求と関係しないものである。医学や法律なぞが、それに応ず....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
持つことなしに、器械の前に立って研究を始めたことはない。また他の学者がやる様に、
既知の事実をただ細かく、他の人が気もつかない様な所までも、平気で想像を逞しくして....
「黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
しては手ぬかりであったことを免かれないであろう。邪推すれば或は助七の黒部に関する
既知の範囲は棒小屋沢附近迄に限られていたので、仙人谷まで案内して行程を打切る意図....