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日和
「日和〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
日和の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文章」より 著者:芥川竜之介
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本多少佐の葬式の日は少しも懸《か》け価《ね》のない秋
日和《あきびより》だった。保吉はフロック・コオトにシルク・ハットをかぶり、十二三....
「子供の病気」より 著者:芥川竜之介
家を出た時はまっ暗だった。その中に細かい雨が降っていた。自分は門を出ると同時に、
日和下駄《ひよりげた》をはいているのに心づいた。しかもその
日和下駄は左の前鼻緒《....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
る、五時少し前でしたが、その時妙な事があったと云うのは、小僧の一人が揃えて出した
日和下駄《ひよりげた》を突かけて、新刊書類の建看板が未に生乾きのペンキの※《にお....
「或る女」より 著者:有島武郎
た。二百二十日の荒れそこねたその年の天気は、いつまでたっても定まらないで、気違い
日和《びより》ともいうべき照り降りの乱雑な空あいが続き通していた。
葉子はその....
「或る女」より 著者:有島武郎
、自分はもう確かに日本の土の上にいるのだという事がしっかり思わされた。
「いいお
日和《ひより》ね。今夜あたりは忙しんでしょう」
と葉子は朝飯の膳《ぜん》に向か....
「二つの道」より 著者:有島武郎
を作りたい。人と人とが互いに不安の眼を張って顔を合わせたくない。長閑《のどか》な
日和《ひより》だと祝し合いたい。そこで一つの迷信に満足せねばならなくなる。それは....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
ぐに届けますえ。」 「はい頼んます。」と、男は返る。 亭主帳場から背後向きに、
日和下駄を探って下り、がたりびしりと手当り強く、そこへ広蓋を出掛ける。ははあ、夫....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
うど狼の温泉へ入込みます途中でな。……晩に雪が来ようなどとは思いも着かねえ、小春
日和といった、ぽかぽかした好い天気。…… もっとも、甲州から木曾街道、信州路を....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
の師匠の内の小女が、たったいま一軒隣の芋屋から前垂で盆を包んで、裏へ入ったきり、
日和のおもてに人通りがほとんどない。 真向うは空地だし、町中は原のなごりをその....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
の艪櫂の音も、水の底に陰気に聞えて、寂しくなるがの。その時稲が実るでござって、お
日和じゃ、今年は、作も豊年そうにござります。 もう、このように老い朽ちて、あと....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
父も祖母もまだ存命で、それはそれは眼にも入れたいほど私を寵愛してくれました。好い
日和の折などには私はよく二三の腰元どもに傅れて、長谷の大仏、江の島の弁天などにお....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
さりを始めるのを待つともなく待ちかまえていた。ところがそれよりも先にけたたましい
日和下駄の音が、改札口の方から聞え出したと思うと、間もなく車掌の何か云い罵る声と....
「森先生」より 著者:芥川竜之介
るを知り、反って親しみを増せし事あり。部屋は根津界隈を見晴らす二階、永井荷風氏の
日和下駄に書かれたると同じ部屋にあらずやと思う。その頃の先生は面の色日に焼け、如....
「初雪」より 著者:秋田滋
晴れ亙った、暖かい日だった。冬とは思われない陽ざしの降り濺ぐ、なまあたたかい小春
日和である。輪を囘して遊んでいる子供を連れたり、男と何やら語らいながら、足どりも....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
かに出くわすようなしろものではなかった。 先ほど言ったように、その日は晴れた秋
日和だった。空はすきとおってうららかで、自然界はゆたかな金色の衣をつけ、豊穣な実....