日和下駄[語句情報] » 日和下駄

「日和下駄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

日和下駄の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
子供の病気」より 著者:芥川竜之介
家を出た時はまっ暗だった。その中に細かい雨が降っていた。自分は門を出ると同時に、日和下駄《ひよりげた》をはいているのに心づいた。しかもその日和下駄は左の前鼻緒《....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
る、五時少し前でしたが、その時妙な事があったと云うのは、小僧の一人が揃えて出した日和下駄《ひよりげた》を突かけて、新刊書類の建看板が未に生乾きのペンキの※《にお....
高野聖」より 著者:泉鏡花
《ぼう》を冠《かぶ》り、毛糸の手袋《てぶくろ》を嵌《は》め、白足袋《しろたび》に日和下駄《ひよりげた》で、一見、僧侶《そうりょ》よりは世の中の宗匠《そうしょう》....
婦系図」より 著者:泉鏡花
。 十三 どこも変らず、風呂敷包を首に引掛けた草鞋穿の親仁だの、日和下駄で尻端折り、高帽という壮佼などが、四五人境内をぶらぶらして、何を見るやら....
星あかり」より 著者:泉鏡花
た一面の銀泥に描いた墨絵のようだと、熟と見ながら、敷石を蹈んだが、カラリカラリと日和下駄の音の冴えるのが耳に入って、フと立留った。 門外の道は、弓形に一条、ほ....
半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
、胸を揺って、(火事じゃ、……宿じゃ、おたにの方じゃ――御免。)とひょこひょこと日和下駄で駆出しざまに、門を飛び出ようとして、振返って、(やあ、皆も来てくれ。)....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
ぐに届けますえ。」 「はい頼んます。」と、男は返る。 亭主帳場から背後向きに、日和下駄を探って下り、がたりびしりと手当り強く、そこへ広蓋を出掛ける。ははあ、夫....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
や、見失ってはならぬぞ、あの、緑青色した鳶が目当じゃ。」 で、白足袋に穿込んだ日和下駄、コトコトと歩行き出す。 年齢六十に余る、鼠と黒の万筋の袷に黒の三ツ紋....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
は、お嬢さんを三人で包んで立った時、焦茶の中折帽を真俯向けに、爪皮の掛った朴歯の日和下駄を、かたかたと鳴らしざまに、その紋緞子の袴の長い裾を白足袋で緩く刎ねて、....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
々相修業に肩につかまらせた事もござりますが、手足は大人なみに出来ております。大な日和下駄の傾いだのを引摺って、――まだ内弟子の小僧ゆえ、身分ではござりませんから....
蜜柑」より 著者:芥川竜之介
さりを始めるのを待つともなく待ちかまえていた。ところがそれよりも先にけたたましい日和下駄の音が、改札口の方から聞え出したと思うと、間もなく車掌の何か云い罵る声と....
森先生」より 著者:芥川竜之介
るを知り、反って親しみを増せし事あり。部屋は根津界隈を見晴らす二階、永井荷風氏の日和下駄に書かれたると同じ部屋にあらずやと思う。その頃の先生は面の色日に焼け、如....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
断、不沙汰ばかり、といううちにも、――大野木宗匠は、……常袴の紺足袋で、炎天にも日和下駄を穿つ。……なぜというに、男は肝より丈まさり、応対をするのにも、見上げる....
式部小路」より 著者:泉鏡花
、水船で消えもせず。湯の中で唄も謡わず。流で喧嘩もせず。ゆっくり洗って、置手拭、日和下駄をからからと帰り途、式部小路を入ろうとして、夜目にもしるき池の坊の師匠が....
註文帳」より 著者:泉鏡花
手からたらたらと坂を下り、鉄漿溝というのについて揚屋町の裏の田町の方へ、紺足袋に日和下駄、後の減ったる代物、一体なら此奴豪勢に発奮むのだけれども、一進が一十、二....