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日当
「日当〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
日当の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文章」より 著者:芥川竜之介
められている。保吉は庫裡《くり》の玄関に新しいエナメルの靴《くつ》を脱《ぬ》ぎ、
日当りの好《い》い長廊下《ながろうか》を畳ばかり新しい会葬者席へ通った。
会葬....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
ち》の最も俗塵に遠い一区劃だった。殊に私の起臥《きが》していた書院造りの八畳は、
日当りこそ悪い憾《うらみ》はあったが、障子襖《しょうじふすま》もほどよく寂びのつ....
「母」より 著者:芥川竜之介
》いているでしょう?」
男はかれこれ二週間ばかり、彼等が窮屈な思いをして来た、
日当りの悪い三階の部屋が一瞬間眼の前に見えるような気がした。――塗りの剥《は》げ....
「河童」より 著者:芥川竜之介
た我らの信頼するホップ夫人に対する報酬《ほうしゅう》はかつて夫人が女優たりし時の
日当《にっとう》に従いて支弁したり。)
一六
僕はこういう記事を読んだ後《....
「彼」より 著者:芥川竜之介
暮らすものだった。僕は学校の冬休みを利用し、はるばる彼を尋ねて行った。彼の病室は
日当りの悪い、透《す》き間《ま》風《かぜ》の通る二階だった。彼はベッドに腰かけた....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
ているか、占《うらな》って貰おうと云う気になった。
案内に応じて通されたのは、
日当りの好《い》い座敷だった。その上主人が風流なのか、支那《シナ》の書棚だの蘭《....
「或る女」より 著者:有島武郎
れたのだった。倉地が先に行って中の様子を見て来て、杉林《すぎばやし》のために少し
日当たりはよくないが、当分の隠れ家《が》としては屈強だといったので、すぐさまそこ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
く声を懸けた者がある。 玄関に居た頃から馴染の車屋で、見ると障子を横にして眩い
日当りを遮った帳場から、ぬい、と顔を出したのは、酒井へお出入りのその車夫。 お....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
ふわふわと浮く。浮けば蝶の羽の上になり下になり、陽炎に乗って揺れながら近づいて、
日当の橋の暖い袂にまつわって、ちゃんちき、などと浮かれながら、人の背中を、トンと....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
に光るもの、輝くものの、仏像、名剣を得たと言っても、売れない前には、その日一日の
日当がどうなった、米は両につき三升、というのだから、かくのごとき杢若が番太郎小屋....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
、桃色の手柄の丸髷で、何だか、はれぼったい、瞼をほんのりと、ほかほかする小春日の
日当りに表を張って、客欲しそうに坐っているから。…… 羽織も、着ものも、おさす....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
、草原を通ると頂上の広場になる。かしこの回向堂を志して、ここまで来ると、あんなに
日当りで、車は母衣さえおろすほどだったのが、梅雨期のならい、石段の下の、太鼓橋が....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
刹の石段の前に立留まって、その出て来るのを待ち合せた。 門の柱に、毎月十五十六
日当山説教と貼紙した、傍に、東京……中学校水泳部合宿所とまた記してある。透して見....
「醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
なっています。全く、こういう田舎を散歩するのは愉快な事でした。 その中でも殊に
日当りのいい場所に、川近く、気持のいい古い百姓家が立っていました。そしてその家か....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
まま印して、乱れた亀甲形に白く乾いた。それにも、人の往来の疎なのが知れて、隈なき
日当りが寂寞して、薄甘く暖い。 怪しき臭気、得ならぬものを蔽うた、藁も蓆も、早....