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旦夕
「旦夕〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
旦夕の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「野分」より 著者:夏目漱石
流した脂《やに》の色である。脂は夜ごとを寒く明けて、濃く変って行く。婆娑たる命は
旦夕《たんせき》に逼《せま》る。 風が吹く。どこから来るか知らぬ風がすうと吹く....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
の手本とも人間の儀表《ぎひょう》とも崇め、此の女に見習って我が心を清くしようと、
旦夕《あけくれ》拝む様にして居た其の女が人殺し、牢破りの怪物だとは、世に是ほどの....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
白樺の木へ腰をおろして焚火にあたっていた。ところが中村氏は私に向って「君の生命は
旦夕にせまっている」というのである。それはどうしてだと聞いてみると、実は去年の今....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
だ。愚老も欲しい」 「俺は早速試みて見た。長江|美作が気の毒にも、癩を病んで命|
旦夕、そこで一粒を投じてやった。ところがどうだ。ところがどうだ!」 「起死回生で....
「運命」より 著者:幸田露伴
態度を取り、反求の工夫に切に、諱まず飾らざる、誠に美とすべし。今年七十有一、死|
旦夕に在り、といえるは、英雄も亦大限の漸く逼るを如何ともする無き者。而して、今万....
「家」より 著者:島崎藤村
逗留することは出来なかった。午後まで、皆なと一緒に正太の側に居た。甥の病勢もまだ
旦夕に迫ったという程では無いらしいので、看護を人々に頼んで置いて、東京の方へ帰る....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
前後を覚えぬまで胸を絞って心血の紅なるを吐き、医は黙し、家族は眉をひそめ、自己は
旦夕に死を待ちぬ。命は実に一縷につながれしなりき。浪子は喜んで死を待ちぬ。死はな....
「蓮花公主」より 著者:田中貢太郎
ばせば則ち楼垣尽く覆る。真に千古末だ見ざるの凶、万代遭わざるの禍、社稜宗廟、危、
旦夕に在り。乞う皇上早く宮眷を率いて、速やかに楽土に遷れよ云云。 竇は読み畢っ....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
太宰府に残って、観世音寺造営に従っていた沙弥満誓から「真十鏡見飽かぬ君に後れてや
旦夕にさびつつ居らむ」(巻四・五七二)等の歌を贈った。それに和えた歌である。旅人....
「妾の半生涯」より 著者:福田英子
日清の関係となるや、儂《のう》は曩日《さき》に述べし如く、我が国の安危《あんき》
旦夕《たんせき》に迫れり、豈《あに》読書の時ならんやと、奮然書を擲《なげう》ち、....
「津田青楓君の画と南画の芸術的価値」より 著者:寺田寅彦
はいまだ一般の鑑賞家には有難がられているであろうが、本当の芸術としての生命は既に
旦夕に迫っている。そのような事は職人か手品師の飯の種になるべきものではあるまいか....
「魔都」より 著者:久生十蘭
なるものは、土台骨ばかり大きくて一向に尻腰のない甘茶新聞とは訳が違い、なにしろ命
旦夕に迫っているんだから、もう死物狂いだア。たとえどのような妨害をしやがっても、....
「天狗外伝 斬られの仙太」より 著者:三好十郎
しら立てて聞かしてもらうのは、あまりと言えば白々し過ぎると言うのだ! それは、命
旦夕に迫った病人、それも薬と言う薬を試みても甲斐のなかった重病人に、今更になって....
「子規居士と余」より 著者:高浜虚子
た。筆記し了えた処へ母が来て、ソップは来て居るのぞなというた。 もう自分の命が
旦夕に迫っているのに奨励のために納豆を買わせるなどは居士の面目を発揮したものであ....
「斬られの仙太」より 著者:三好十郎
さかしら立てて聞かして貰うのは、余りと言えば白々し過ぎると言うのだ! それは、命
旦夕に迫った病人、それも薬という薬を試みても甲斐のなかった重病人に、いま更になっ....