早い[語句情報] » 早い

「早い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

早いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
浅草公園」より 著者:芥川竜之介
の足もと。小さい花束が一つ落ちて来る。少年の手はこれを拾う。花束は往来を離れるが早いか、いつか茨《いばら》の束に変っている。 32 黒....
犬と笛」より 著者:芥川竜之介
来た風に向って、しきりに鼻をひこつかせていましたが、たちまち身ぶるいを一つするが早いか、 「わん、わん、御姉様《おあねえさま》の御姫様は、生駒山《いこまやま》の....
」より 著者:芥川竜之介
も恐れず、寸刻もたゆまない凝視の眼を房子の顔に注いでいる。彼女は両手に顔を隠すが早いか、無我夢中に叫ぼうとした。が、なぜか声が立たない。その時彼女の心の上には、....
開化の良人」より 著者:芥川竜之介
さいわ》いと、即座に話がまとまって、表向きの仲人《なこうど》を拵《こしら》えるが早いか、その秋の中に婚礼も滞《とどこお》りなくすんでしまったのです。ですから夫婦....
神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
も明けたように鬨《とき》をつくっているではないか? オルガンティノは飛び上るが早いか、アビトの両腕を拡げながら、倉皇《そうこう》とこの鳥を逐い出そうとした。が....
河童」より 著者:芥川竜之介
最後に、――僕はこの話を終わった時の彼の顔色を覚えている。彼は最後に身を起こすが早いか、たちまち拳骨《げんこつ》をふりまわしながら、だれにでもこう怒鳴《どな》り....
或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
咄嗟《とっさ》に決心すると、身仕度をする間も惜しいように、編笠をかなぐり捨てるが早いか、「瀬沼兵衛《せぬまひょうえ》、加納求馬《かのうもとめ》が兄分、津崎左近が....
おぎん」より 著者:芥川竜之介
らしい。悪魔は一人になった後《のち》、忌々《いまいま》しそうに唾《つば》をするが早いか、たちまち大きい石臼《いしうす》になった。そうしてごろごろ転がりながら闇の....
お時儀」より 著者:芥川竜之介
なことは見定《みさだ》める余裕を持たなかったのであろう。彼は「しまった」と思うが早いか、たちまち耳の火照《ほて》り出すのを感じた。けれどもこれだけは覚えている。....
温泉だより」より 著者:芥川竜之介
字村のある家へ建前《たてまえ》か何かに行っていました。が、この町が火事だと聞くが早いか、尻を端折《はしょ》る間《ま》も惜しいように「お」の字|街道《かいどう》へ....
或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
太平記を前に置いて、眼鏡をかけたまま、居眠りをしていた堀部弥兵衛が、眼をさますが早いか、慌ててその眼鏡をはずして、丁寧に頭を下げた容子《ようす》である。これには....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
んでお出でだったけれど、――」 ひどく厭な気がしていた彼は金口を灰に突き刺すが早いか、叔母や姉の視線を逃れるように、早速長火鉢の前から立ち上った。そうして襖《....
馬の脚」より 著者:芥川竜之介
莫迦《ばか》げたことのあるはずはない。現に彼の脚はこの通り、――彼は脚を早めるが早いか、思わずあっと大声を出した。大声を出したのも不思議ではない。折り目の正しい....
アグニの神」より 著者:芥川竜之介
のは、婆さんの罵る声に交った、支那人の女の子の泣き声です。日本人はその声を聞くが早いか、一股に二三段ずつ、薄暗い梯子を駈け上りました。そうして婆さんの部屋の戸を....
三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
の水田がひろがって、田には黄金の稲が一杯に実っていました。 「伊作の足あ、なんて早いんだべい!」 と多助は太郎右衛門に言いました。 「ああした男あ、坂の下で一服....