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「早業〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

早業の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
僕の目の下からひらりと桟橋へ飛び移った。それは実際人間よりも、蝗《いなご》に近い早業だった。が、あっと思ううちに今度は天秤捧《てんびんぼう》を横たえたのが見事に....
或る女」より 著者:有島武郎
からずしずしと離れて行く船の上にただ一条の綱を伝って上がって来た。人々はまたその早業《はやわざ》に驚いて目を見張った。 葉子の目は怒気を含んで手欄《てすり》か....
星座」より 著者:有島武郎
て、湯気《ゆげ》を立てんばかりな平べったい脂手が、空を切って眼もとまらぬ手真似の早業《はやわざ》を演ずる。そういう時仲間のものは黙ってそれが自然に収まるのを待っ....
婦系図」より 著者:泉鏡花
を撲ったから、癪に障って堪らないので、ちょうど袖の下に俯向いていた男の袖口から、早業でその紙入をずらかし込んで、もう占めた、とそこで逆捻に捻じたと云うんだね。 ....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
誰であるか更に判らなくなって居る。ナポレオンが手下の騎兵を使う時でも、斯うまでの早業はむずかしろう。 私は手欄から下を覗いて居た。 積荷のない為め、思うさま....
鬼仏洞事件」より 著者:海野十三
ろで、彼女の器械の中に収められたのであった。 自分でも、後でびっくりしたほどの早業であった。職務上の責任感が、咄嗟の場合に、この大手柄をさせたものであろう。 ....
共軛回転弾」より 著者:海野十三
もない。彼奴は油断のならない喰わせ者だよ」 「へえ、喰わせ者」 「そうよ。器用な早業で、カンガルーの股燻製を一|挺、上衣の下へ隠しやがった。あいつは掏摸か、さも....
火薬船」より 著者:海野十三
も、とんでくるナイフは、ぜひ受けとめねばいのちにかかわる。そこで、こっちも手練の早業で、やっとナイフを受けとめてみると、そのナイフの柄に、布ぎれがついていたので....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
あった。 「ああ!」 「おお!」 さすがのリット少将も、また警備隊員達も、この早業にすっかり胆をつぶしてしまって、藁人形のように窓硝子の穴を呆然とみつめるばか....
くろがね天狗」より 著者:海野十三
たが最後、印判で捺したように天狗のために切り捨てられるのであった。 「手前手練の早業にてサッと切り込んだので厶るが……」と運よく腕一本を失って助かった被害者が病....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
、この癖を認めないものはなかろう。ちょいと内証で、人に知らせないように遣る、この早業は、しかしながら、礼拝と、愛撫と、謙譲と、しかも自恃をかね、色を沈静にし、目....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
掛けるが響くと、宙で撓めて、とんぼを切って、ひらりと翻った。古今の手練、透かさぬ早業、頭を倒に、地には着かぬ、が、無慚な老体、蹌踉となって倒れる背を、側の向うの....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ず、お爺さんの姿が又々烟のように側から消えて無くなって了いました。 重ね重ねの早業に、私は開いた口が容易に塞がりませんでしたが、漸く気を落ちつけて四辺の景色を....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
れた土橋から、宿の玄関へ立ったのでしたっけ。――(さあ、どうぞ。)が、小手さきの早業で、例のスリッパを、ちょいと突直すんじゃない、うちの女房が、襷をはずしながら....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
たまま、 「兄さん、お久さんは家へ来ます。時間は極めておかないけれど。……」 「早業だなあ、町はずれだというのに、もう行って来たんですか、迅いこと、まるで女|天....