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早老
「早老〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
早老の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新生」より 著者:島崎藤村
をあの劇中の娘に比べて見た。三年の独身は、漸《ようや》く四十の声を聞いたばかりで
早老人の心を味わせた。それを考えた時は、岸本は忌々《いまいま》しく思った。
....
「ロンドン一九二九年」より 著者:宮本百合子
時的ならぬ貧を二代三代とかさねさせているうちに、この逆三角の顔を持ち七歳ですでに
早老的声変りをした異様な小人間がおし出されて来たのである。 並木路のまんなかを....
「藤村の文学にうつる自然」より 著者:宮本百合子
藤村が赴任した内的な理由は、そこにあったと思える。 都会の遽《あわただ》しさや
早老を厭わしく思った時、藤村は心に山を描いた。幼心に髣髴《ほうふつ》とした山々を....
「微妙な人間的交錯」より 著者:宮本百合子
に多少ともさらされていない何人を挙げることが出来るだろう。 特に日本は若く而も
早老な社会機構によって、ジャーナリズム内の理想主義と実利主義との紛糾は、呼吸荒い....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
しいことには西洋人の如く、本当の精力とか体力が何といっても足りないのだから、すぐ
早老が押し寄せてくる。生殖、繁殖、進行、猛烈が長く続かないのだ、気ばかりあせって....
「海辺小曲(一九二三年二月――)」より 著者:宮本百合子
前の際限ない胸を張れ! 濤をあげよ。 そして、息をのむ大洪水の瞬下に 此あわれに
早老な女の心を溺れ死なせ。 波頭に 白く まろく、また果《は》かなく 少女時代の....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
のね。精神は生活経験の蓄積の時間が入用ですから、体にまけて、萎えて、未成長のまま
早老してしまうのでしょう。インドの聖人たちが、みんな肉体の支配について巨大な意力....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
た。顳※《こめかみ》のあたりは毛が薄くなっていた。縮れた金髪の間から、頭の頂上に
早老の禿《はげ》が見えていた。青い眼は眼差《まなざし》がぼんやりしていた。小さな....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
イク風に先とがりに刈り込んだ金褐色《きんかっしょく》の髯《ひげ》、よく似合ってる
早老の禿《は》げかかりの頭、舌ったるい言葉つき、優美な物腰、いつも揉《も》み手を....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
小さい時には美しかったに違いない。年頃の容色はなお、汚行と貧困とから来る恐ろしい
早老のさまと戦っていた。一抹《いちまつ》の美しさがその十六歳の顔の上に漂っていて....
「死刑囚最後の日」より 著者:豊島与志雄
育のこと、一八〇四年の陰謀の熱狂的な頑固な再犯者であり、牢獄のしめっぽい影の下に
早老の白髪となっている、彼らの首領の偏狭な頭脳のこと、彼らの共通な地位が宿命的に....
「地上」より 著者:島田清次郎
労したような古びた皮膚の汚ならしさと老人のような色艶を見て平一郎は、(天野の子は
早老している)と想わずにいられなかった。 「もう寝るのかい」と彼は平一郎に好奇心....
「探偵小説壇の諸傾向」より 著者:平林初之輔
な力のない作品が生まれることにもなる。 これらの傾向は、探偵小説の行き詰まり、
早老を予感せしめる徴候の一つではないかと私は考える。限りあるエネルギーは最も経済....