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早船
「早船〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
早船の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
談の事についてはずれの旦那が来てくれて今帰られたところだ。お前も知ってるだろう、
早船の斎藤よ、あの人にはお前も一度ぐらい逢った事があろう、お互いに何もかも知れき....
「家」より 著者:島崎藤村
出した。 「貴方――もし御多忙しいようでしたらここから帰って用を達して下さい。最
早船に乗るだけの話で、海さえ平穏なら伊東へ着くのは造作ない――私|独りで行きます....
「難船小僧」より 著者:夢野久作
わばった顔をして……俺は強く咳払いをした。 「エヘン。そうかも知れねえ。しかし最
早船には居ねえ筈だからな」 船長は何も云わなかった。苦い苦い顔をしたまま十八倍....
「白くれない」より 著者:夢野久作
で冷水を飲み傾くるに、其の美味かりし事今も忘れず。折ふし向岸の諏訪下の渡船場より
早船にて、漕ぎ渡し来る数十人の捕吏の面々を血刀にてさし招きつゝ、悠々として大文字....
「婦人作家」より 著者:宮本百合子
。多面的な日常生活の困難ととりくみながら、家庭の主婦であり、小さい子供の母である
早船ちよが、「峠」「二十枠」「糸の流れ」「季節の声」「公僕」など、次々に力作を発....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
ている。 大阪からの船は、折から藩の大きな荷船の来ているのが無かったので、別に
早船を藩から雇ってそれに乗せられた。この船にも小さな屋根があって、父その他の数人....
「源氏物語」より 著者:紫式部
知れたなら、負けぎらいな監は追って来るであろうと思われるのが恐ろしくて、この船は
早船といって、普通以上の速力が出るように仕かけてある船であったから、ちょうど追い....
「蛍」より 著者:織田作之助
ず、何かの足しにとひそかに紙に包んで渡すこともあった。追われて逃げる者にはとくに
早船を仕立てたことはもちろんである。 やがてそんな登勢を見こんで、この男を匿っ....
「加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
心得ておりまする」 「四方に散々に散っている友船を悉く集めねばならぬ」 「すぐに
早船を遣わしましょう」 「よし」 と紋太夫は拳を固め黒檀の卓をトンと打った。と....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
横堀の舟着場所の一つになっている高麗橋の川沿いの家であった。
橋の上へ来ると、
早船は、目印の旗を立て、伏見通いのは、大きい体を横づけにして、川岸いっぱいに、幾....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
ら、北町奉行所ではひっくりかえるような大騒ぎ。さっそく御蔵河岸《おくらがし》から
早船を五艘、突っこみにして利根すじへのぼらせましたが、ひとくちに利根と申しても広....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
あの綱の結び目が仙の野郎の運のつきとでも言うんでしょう。ありゃあ水神結びってね、
早船乗りの舵子《かこ》が、三十五反を風にやるめえとするえれえいわく因縁のある糸玉....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
大川は八|分の出水、当深川の川筋は、縦横曲折至る処、潮、満々と湛えている、そして
早船乗の頬冠をした船頭は、かかる夜のひっそりした水に声を立てて艪をぎいーぎい。 ....
「春泥」より 著者:久保田万太郎
そうだろうと思います。――早い話が一つ目へ行く渡しもなくなれば四つ目の牡丹へ行く
早船の看板もみえなくなり、以前のように暢気に釣なんぞしているものは一人だってあり....