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早苗
「早苗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
早苗の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
熊谷蓮生坊が念仏を抵当に入れたというその相手の長者の邸跡が今は水田になっていて、
早苗《さなえ》がやさしく風に吹かれているのを見に寄ったり、島田では作楽井の教えて....
「天主閣の音」より 著者:国枝史郎
た。 春が逝って初夏が来た。花菖蒲の咲く頃になった。庄内川には鮎が群れ、郊外の
早苗田では乙女達が、※秧の業にいそしむようになった。 間もなく五月雨の季節とな....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
井米もはいって来るようになった。百姓らはいずれも刈り取った麦に力を得て、柴落し、
早苗取りと続いたいそがしい農事に元気づいた。そこにもここにも田植えのしたくが始ま....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
には次ぎのようなものもできた。 おのがうたに憂さやなぐさむさみだれの雨の日ぐらし
早苗とるなり 梅雨期の農夫を憐む心は、やがて彼自ら憐む心であった。平田篤胤没後....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
ばせ」 声とともに、静かに障子があいて顔を出したのを見ると、お蓮様づきの侍女、
早苗《さなえ》です。 玉虫色《たまむしいろ》のおちょぼ口を、何事かこころもちあ....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
、田園の風致いよいよ濃やかな頃、今戸焼の土鉢に蒔きつけた殻の青々と芽生えて、宛ら
早苗などの延びたらんようなるに、苧殻でこしらえた橋、案山子人形、魚釣りなんどを按....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
に細かい泥を跳《は》ねあげて、菅笠《すげがさ》か、手ぬぐいかぶりで、駈足で、青い
早苗を一束にぎって、売り声を残していった。 水玉という草に水をうって、涼しくか....
「五月の唯物観」より 著者:寺田寅彦
内容の原始的人間生活の匂いは永久に消えてしまい忘れられてしまったのであろう。 「
早苗とる頃」で想い出すのは子供の頃に見た郷里の氏神の神田の田植の光景である。この....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
百八十四名、漸次増加して学校の勢力もまた上がって来ていた。総長は大隈さんで、高田
早苗、坪内雄蔵、天野為之、三宅恒徳の四先生が中堅となり、外部から十数名の講師の応....
「『地球盗難』の作者の言葉」より 著者:海野十三
説の第二作であって、昭和二年「無線電話」という雑誌に自ら主唱し、友人|槙尾赤霧と
早苗千秋とに協力を求めて、三人して「科学大衆文芸」というものを興したが、そのとき....
「地虫」より 著者:小栗虫太郎
足の五太夫の家を訪れた。 当時矢伏は、すでに刑死台にのぼっていて、遺族としては
早苗という一人娘がいるだけであった。 その
早苗は、どこか神経的な凝視的な影のあ....
「市川九女八」より 著者:長谷川時雨
深みを添えるたしなみが、女役者の住居《すまい》とは思わせなかった。 「高田先生(
早苗《さなえ》)は、あたしを女のままで、女役にして、団十郎《ししょう》の相手を演....
「子規居士と余」より 著者:高浜虚子
学』、『しがらみ草紙』、『城南評論』、それに近松物、西鶴物、露伴物、紅葉物、高田
早苗氏の『美辞学』、中江篤介訳の『維氏美学』、それらを乱読して東都の空にあこがれ....
「西航日録」より 著者:井上円了
と思うなり。 ある日再びリーズ市に至り、同地なる工業大学校を訪い、図らずも奥田
早苗氏ほか三名の日本学生に面会するを得。五人相対して午餐を喫し、終日日本談話の歓....
「澪標」より 著者:外村繁
蔵王山麓の妻の生家を度度訪れる。 五月雨の水を湛えた段段田は、それぞれの水面に
早苗の緑を映している。しかし段段田が遠く傾いて行くにつれ、
早苗の緑は次第にその間....