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早計
「早計〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
早計の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
どもそれだけの理由のために半三郎の日記ばかりか、常子の話をも否定するのはいささか
早計《そうけい》に過ぎないであろうか? 現にわたしの調べたところによれば、彼の復....
「或る女」より 著者:有島武郎
題を勘定に入れる事も忘れはしなかった。事務長をしっかり自分の手の中に握るまでは、
早計に木村を逃がしてはならない。「宿屋きめずに草鞋《わらじ》を脱ぐ」……母がこん....
「海底大陸」より 著者:海野十三
「なんと、はりあいのないこと!」 と三人は声を合わせてさけんだが、それはすこし
早計であった。 なぜなら、そのとき三人の眼が、もしも、うしろがわの舷にそそがれ....
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
たにしても、それをもって直に九〇|瓩強の重量が積載されていたと断定するのは、甚だ
早計な観測だと思うのです。と云うのは、たとえそれだけの重量の抵抗がなかったとして....
「気狂い機関車」より 著者:大阪圭吉
て、何もそれだけで、兇器を、あの切通で使った撥形鶴嘴であると推定されるのは、少し
早計ではないでしょうか?――御承知の通り、砕石道床と言う奴は、砕石が角張っている....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
間に繰り返されていった権謀術策の跡を顧みると、法水の推断を底とするのが、まだまだ
早計のようにも思われるではないか。しかし、五芒星呪文に対する彼の追及は、けっして....
「霊魂第十号の秘密」より 著者:海野十三
。シカシ果シテソレガ雑音ナドトイワレルニ十分ナ屑電波《くずでんぱ》ダトスルコトハ
早計ニ過ギルト思ワレル。雑音コソハ、直チニ研究ニ取懸《とりかか》ルニ適シタ未知電....
「現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
菊松はゾク/\と寒気が走った。大納言の霊だけが地獄へおちていたのかと安心したのは
早計であった。彼がこゝへ連れこまれたのは、浄められるためであったのである。してみ....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
撲だからデブで腕ッ節の強いのが力まかせに突きとばせば勝つにきまっていると思うのは
早計である。斎藤一座は特に四十八手の錬磨にはげませたから、例の遠江灘オタケ二十一....
「血液型殺人事件」より 著者:甲賀三郎
も博士の絶命時間については未だ正確に分らないから、解剖の結果を待たないと、結論は
早計であるかも知れないが、之を見ると、博士の死は変な事になるのだ。 といって、....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
らないんだ。…… 小野 しかし、それだけのことであいつを狂人扱いにしてしまうのは
早計だ。そいつは少し残酷だよ。 清原 まだまだ思い当る節はたくさんあるさ。第一に....
「水垢を凝視す」より 著者:佐藤垢石
争い食うのである。そこへ囮鮎を放てば必ず釣れる。 故に、白川となっても諦めては
早計である。垢の残っていそうなところを仔細に観察し、川の中へ足を踏み込んで、爪先....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
ついて、仏壇、廚子らしいのが幕を絞って見えますが、すぐに像が拝まれると思ったのは
早計でした。第一|女神でおいでなさる。まず拝して、絵馬を視て、しばらく居ました。....
「素人製陶本窯を築くべからず」より 著者:北大路魯山人
うのは焼物師のことだ、焼物師、俺につけ……こんなふうに諸氏は方法で物が生まれると
早計に考えられたのである。なるほど、現在の五条坂や帝展物はある程度の方法によって....
「美食と人生」より 著者:北大路魯山人
むかを知るべきであろう。口に美味さを感ずる刹那の楽しみだけが、食道楽と断ずるのは
早計である。 ぜいたくだの、もったいないなど、昔の京都の家庭人のようなのは、一....