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「旱天〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

旱天の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
、そもなんの目的をもって三人の小町娘をさらい去ったか、疑問はただその一点! 日は旱天《かんてん》、駕籠は韋駄天《いだてん》。濠《ほり》ばた沿いをただ一路湯島に駆....
不尽の高根」より 著者:小島烏水
段を作っている水田からは、稲の青葉を振り分けて、田から田へと落ちる水が、折からの旱天にも滅げず、満々たる豊かさをひびかせて、富士の裾野のいかにも水々しい若さを鮮....
時限爆弾奇譚」より 著者:海野十三
ると、おれは気が変になりそうじゃからのう」 博士が燻製にあこがれること、実に、旱天が慈雨を待つの想いであった。秘書は、びっくりして、引込んだ。 「とうとうあり....
待呆け議会風景」より 著者:宮本百合子
という言葉が生れて使われていることもまた別様の意味で面白い。 今日の電力不足は旱天が大半の理由でありましてと、勝逓相の答弁が始められると、議場にどっと笑いがお....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
をおひきになりましたか? いけないわねえ、そう思っている次第です。何しろこういう旱天は体に実にわるくて、丈夫なものもすこしずつ異常です、太陽の黒点がすっかりこっ....
再び科学的精神について」より 著者:戸坂潤
うに考えるのが、日本主義者の通常であるようだ。今日の日本の民衆は「科学的精神」を旱天の慈雨のように欲しているのだが、日本主義者によると、それは民衆の伝統上、許す....
開運の鼓」より 著者:国枝史郎
一 将軍家斉の時代であった。天保の初年から天候が不順で旱天と洪水とが交※道に横たわり死骸から発する腥い匂いが空を立ち籠めるというありさ....
博物誌」より 著者:岸田国士
帽子に刺さったとしても、私はそれがあんまりだとは思わない。 雨が降り過ぎたり、旱天が続き過ぎたりして、犬の鼻が利かなくなり、私の銃先が狂うようになり、鷓鴣のそ....
次郎物語」より 著者:下村湖人
何かこそこそ言っていたが、その話かも知れないね。」 次郎はやけに草を引きぬき、旱天つづきでぼさぼさした畑の土を、あたりの青い菜っ葉にまきちらした。それは、道江....
秋草」より 著者:島崎藤村
懇意な植木屋が呉れた根も浅い鉢植の七草は、これもとっくに死んで行った仲間だ。この旱天を凌いで、とにもかくにも生きつづけて来た一二の秋草の姿がわたしの眼にある。多....
穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
」に向う。 十五 落合ノ小屋 六時半、赤沢ノ小屋を見舞う、此処は昨今の旱天続きで容易に水を得られぬから、宿泊出来ぬそうだ。七時二十分には、目ざす落合ノ....
葛飾土産」より 著者:永井荷風
にぎのかみ》という神が祀《まつ》られ、その土地から甘酒のような泉が湧き、いかなる旱天《かんてん》にも涸《か》れたことがないというのである。 石を囲《めぐら》し....
三国志」より 著者:吉川英治
虫でも藻草でもありません。泥魚という魚です。この魚は天然によく処世を心得ていて、旱天がつづき、河水が乾あがると、あのように頭から尾まで、すべて身を泥にくるんで、....
三国志」より 著者:吉川英治
「只今、かくかくの報らせがあった」と、告げた。 このときの陸遜の顔はちょうど旱天に雨雲を見たように、何ともいえぬ歓びを明るい眉にあらわしていた。 「オオ。そ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
ビ、賄賂ハマタ、苛斂ト誅求ヲ諸地方ニ生ム。 茲ニ至ツテ、北条天下ノ民土、全ク、旱天ノ亀裂ニ似タル危殆ヲ呈シ、民、雨ヲ待ツノ声、今ヤ地ニ満チテ、シカモ声無シ……....