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「昂って〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

昂っての前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
まれ。騒ぐな。」 いつもならば叱られて素直に鎮まるのですが、きょうはお祭で気が昂っているのか、どっちもなか/\鎮まらない。市川さんは壁にかけてあるたんぽ槍は単....
長篠合戦」より 著者:菊池寛
他人の下知を受けるものではない。内藤承って返答したりと申されよ」と云った。意気|昂って鼻いきが荒いのである。徳川の脇備、本多平八郎、榊原小平太、直ちに勝頼の本陣....
霜凍る宵」より 著者:近松秋江
み上げて来て、熱い玉のような涙がはらはらと両頬に流れ落ちた。そして神経がむやみに昂って、胸の動悸が早鐘を撞くようにひびく。寒い外気に触れて頬のまわりに乾きつく涙....
大衆文芸作法」より 著者:直木三十五
、誤った、極限された方向へ突進んでこういう要素を取除いて了った、それがために愈々昂って来たところの以上のような要素への渇望に大衆文芸が投じたのではあるまいか。 ....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
がるじゃねえか。今夜あたり、ジャンと来なきゃァいいが」なぞと言う晩には妙に神経も昂ってきて、器物の音にも耳を聳てる。 されば向島の秋葉様は十月の十七、十八とい....
夜の靴」より 著者:横光利一
は人より稲を救わねばならぬ。 そこへ米の供出方法が定められた。農家の議論はまた昂って来たようだ。去年は、定められた供出量の努力に対して、それを保証する意味の保....
出奔」より 著者:伊藤野枝
重い鉛に圧迫されたような気分になってきた。だが俺は痛烈な感に打たれて心はもちろん昂っていた。それにしても首尾よく逃げおうせればいいがと、また不安の念を抱かないで....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
無人、と思わねばならないのに、俊吉は別に怪まなかった。それは、懐しい、恋しい情が昂って、路々の雪礫に目が眩んだ次第ではない。 ――逢いに来た――と報知を聞いて....
女の一生」より 著者:森本薫
続くとみていいね、去年の十月に浦塩艦隊を破り、今又旅順を落して我が軍は意気大いに昂っているが、ロシヤでは、バルチック艦隊を東洋に回航させるという噂もあるし、陸で....
夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
越えていても脂ぎって艶々しく、凡てが圧力的だった。見詰めていると、顔全体が異様に昂って来る感じがするけれども、そこにまた、冷酷な性格を充分満せないような、何んと....
南国太平記」より 著者:直木三十五
(何が、怖いんだ、何が――) と、庄吉は、自分へ、叫んでみた。だが、心臓が、昂っているし、時々、溜息をしなくてはならなかった。 (若旦那は、一体、何を、まご....
贋物」より 著者:葛西善蔵
っさい新規蒔直しだ。……僕らの生活はこれからだよ!」 生活の革命だと信じて思い昂っている耕吉には、細君の愚痴話には、心から同情することができなかったのだ。 ....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
れて、物々しげにかたまってはいるが、まだ清十郎の来ないせいか、なんとなく、気勢が昂っていない。 「おかしいなあ、高札には蓮台寺野とあったのに。試合|場はここかし....