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「昂然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

昂然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
くはない。――彼は、後ろを見返り見返り、晴れ晴れした微笑を、口角に漂わせながら、昂然《こうぜん》として、馬を駆った。 彼の念頭には、沙金がある。と同時にまた、....
一夕話」より 著者:芥川竜之介
は?」 「早まっちゃいけない。誰が和田なんぞをつれて行くもんか。――」 藤井は昂然《こうぜん》と眉を挙げた。 「あれは先月の幾日だったかな? 何でも月曜か火曜....
十円札」より 著者:芥川竜之介
ゅん》した後、彼は時計をポケットへ収め、ほとんど喧嘩《けんか》を吹っかけるように昂然《こうぜん》と粟野さんの机の側へ行った。粟野さんは今日《きょう》も煙草の缶、....
河童」より 著者:芥川竜之介
ていたが、……」 「僕か? 僕は超人(直訳すれば超河童です。)だ。」 トックは昂然《こうぜん》と言い放ちました。こういうトックは芸術の上にも独特な考えを持って....
毛利先生」より 著者:芥川竜之介
考える事が出来るであろう。だから自分は喝采しながら、聳《そびや》かした肩越しに、昂然として校舎の入口を眺めやった。するとそこには依然として、我《わが》毛利先生が....
沼地」より 著者:芥川竜之介
勢いで生きている。……… 「傑作です。」 私は記者の顔をまともに見つめながら、昂然としてこう繰返した。 (大正八年四月)....
或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
んな。」 伝右衛門は、他人事《ひとごと》とは思われないような容子《ようす》で、昂然とこう云い放った。この分では、誰よりも彼自身が、その斬り捨ての任に当り兼ねな....
西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
。西郷隆盛は今日《こんにち》までも生きています。」 老紳士はこう云って、むしろ昂然と本間さんを一瞥《いちべつ》した。本間さんがこれにも、「ははあ」と云う気のな....
三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
ぜ打ち果すのを控《ひか》えなかったのじゃ?」 三右衛門は治修にこう問われると、昂然《こうぜん》と浅黒い顔を起した。その目にはまた前にあった、不敵な赫《かがや》....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
彼女は急に唇を歪《ゆが》めて、蔑《さげす》むような表情を水々しい眼に浮べたまま、昂然《こうぜん》と一人先に立って、彼の傍を通り過ぎた。彼はいつもの通り顔を赤めた....
忠義」より 著者:芥川竜之介
上は、林右衛門も意地ずくじゃ。手を拱《こまぬ》いて縛り首もうたれまい。」 彼は昂然として、こう云った。そうして、今まで彼につきまとっていた得体《えたい》の知れ....
藪の中」より 著者:芥川竜之介
ずえ》に、懸ける首と思っていますから、どうか極刑《ごっけい》に遇わせて下さい。(昂然《こうぜん》たる態度) 清水寺に来れる女の懺悔《ざんげ》 ――その紺《....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
に、夏外套を脱ぎ捨てると、思わず止めようとしたお敏の手へ、麦藁帽子を残したなり、昂然と次の間へ通りました。が、可哀そうなのは後に残ったお敏で、これは境の襖の襖側....
或る女」より 著者:有島武郎
々はまだ殊勝らしく頭をうなだれている中に、正座近くすえられた古藤《ことう》だけは昂然《こうぜん》と目を見開いて、襖《ふすま》をあけて葉子がしとやかにはいって来る....
蜜柑」より 著者:芥川竜之介
。そうしてそこから、或得体の知れない朗な心もちが湧き上って来るのを意識した。私は昂然と頭を挙げて、まるで別人を見るようにあの小娘を注視した。小娘は何時かもう私の....