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「昇華〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

昇華の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
富士」より 著者:岡本かの子
間に、宗家は衰え派出した分家、また分家の方が栄えた。どういうわけであろう。界隈の昇華した名家々々の流れを相互に婚姻を交えている間に、家の人間に土より生い立てる本....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
て見た。それは欧洲文芸復興期の人性主義が自然性からだんだん剥離して人間|業だけが昇華を遂げ、哀れな人工だけの絢爛が造花のように咲き乱れた十七世紀の時代様式らしい....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
った。 九時二十分頃、呂昇が出て来て金屏風の前の見台に低頭した。連れ弾は弟子の昇華。二人共時候にふさわしい白地に太い黒横縞段だらの肩衣を着て居る。有楽座で初め....
悟浄出世」より 著者:中島敦
ぐ》から努力を抛棄《ほうき》していた渠が、骨折り損を厭《いと》わないところにまで昇華《しょうか》されてきたのである。 六 悟浄《ごじょう》の肉体はもはや疲れ切....
日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
解放されたこの解釈学乃至文献学は、云うまでもなく完全に「哲学」的用途のものにまで昇華する。今やハイデッガーに於ては、文献学乃至解釈学は、そのプロパーな言語学的又....
鬱屈禍」より 著者:太宰治
文学の敵を想定してみるのだが、考えてみると、すべてそれは、芸術を生み、成長させ、昇華させる有難い母体であった。やり切れない話である。なんの不平も言えなくなった。....
情意の干満」より 著者:豊島与志雄
ろうとも、一つの句、一つの色、一つの音、一つの声が、全体の凡庸愚劣卑俗から遊離し昇華して、私の心を打つ。私には全体の見通しがつかず、独立した個々の一部が、偉大な....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
せよ、樫《かし》の青葉を打ち落とせよ。そして思想をして旋風たらしめよ。あの群集は昇華され得るであろう。時々にひらめき激し震えるあの広大なる主義と徳との燎原《りょ....
血液型殺人事件」より 著者:甲賀三郎
化炭素即ち炭酸ガスと呼ばれている気体は、容易に液化出来るから、(臨界温度三一度、昇華点零下七九度である。)サイフォンといわれている家庭用炭酸水製造器に、拇指より....
九代目団十郎の首」より 著者:高村光太郎
でに此の巨人の像が根を生やした様に大きく場を取ってしまっていた。此の映像の大塊を昇華せしめるには、どうしても一度之を現実の彫刻に転移しなければならない。私は今此....
チェーホフの短篇に就いて」より 著者:神西清
かりではあるまい。何故ならそこに見られるものは単なる醇化作用ではなく、いわば強い昇華作用が働いているからだ。これが影響の最も望ましい形であることは言うまでもない....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
。平安時代四百年に、三十一音の短歌形式を護ることによって、詩歌は民謡から文芸へと昇華したが、今や文芸としての和歌は、形式を護る上に、さらにその形式にともなうとこ....
」より 著者:中谷宇吉郎
るのである。この固体から直接気体になり、または気体から直接固体になる現象を一般に昇華作用と呼んでいるが、雪はこの昇華作用によって水蒸気が直接に氷になったものであ....
雪雑記」より 著者:中谷宇吉郎
であるが、実際は初めの中《うち》はなかなか巧く行かなかった。愚図々々している中に昇華作用で肝心の一番繊細な模様が消えてしまったり、つい一番大切な珍らしい結晶に息....
粉雪」より 著者:中谷宇吉郎
それは個体の状態から直ちに気化してまた凝縮するという現象、物理学の方面でいわゆる昇華作用と呼ばれている現象のために、結晶の尖った部分が気化して凹んだ部分に凝縮し....