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「明かん〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

明かんの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
いじけた小児がいやいやをすると同一に縮めた首を破れた寝ン寝子の襟に擦って、 「埒明かんで、久しい風邪でな、稼業は出来ず、段々弱るばっかりじゃ。芭蕉の葉を煎じて飲....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
う声だ! 私は氷を浴びたように悚然とした。 (閉い言うて、云わしゃれても、な、埒明かん。閉めれば、その跡から開けるで、やいの。) 聞くと、筋も身を引釣った、私....
浮雲」より 著者:二葉亭四迷
ら観れば、年若の者のする事は、総てしだらなく、手緩《てぬ》るくて更に埒《らち》が明かん。そこで耐《こら》え兼て、娘に向い、厳《おごそ》かに云い聞かせる、娘の時の....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
がために雨乞するのじゃ。やあ衆、手ぬるい、遣れ遣れ。(いずれも猶予するを見て)埒明かんな、伝吉ども来い。(と喚く。) 博徒伝吉、威の長ドスをひらめかし、乾児、得....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
舞えるかえ、舞えるのかえ。」 と女中は嬉しそうな声をして、 「おお、踊や言うで明かんのじゃ。舞えるのなら立っておくれ。このお座敷、遠慮は入らん。待ちなはれ、地....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
いらだちきった組頭は、この上は、自身|糺問《きゅうもん》に当らねば埒《らち》が明かんと覚悟した時分、黒灰浦の海岸の陣屋の方に当って、一旒《いちりゅう》の旗の揚....
黒百合」より 著者:泉鏡花
螫す、蚋が螫すわ。どうじゃ、歩き出そうでないか。堪らん、こりゃ、立っとッちゃあ埒明かん、さあ前へ行ね、貴公。美人は真中よ、私は殿を打つじゃ、早うせい。」 島野....
栄蔵の死」より 著者:宮本百合子
さかい。 な、私で話が分るんなら行んでも来ようが、こう云う事は、女子ではらちが明かんさかいな。 病気になった時、親にはなれて居るほど心細いものはあらへん。 ....
見えざる人」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
物事を抽象的の結末から始まるもので、この問題等も、外の所からではどうしてもらちが明かんのじゃ」 「あなたがたはこういう事に気がついた事がありますかな、人というも....
魔都」より 著者:久生十蘭
ったんだが、君は覚ってくれなかった」 真名古は一種茫漠たる表情を泛べながら穴の明かんばかりに総監の面を注視していたが、この時、脱兎のように総監の方へ駆け寄って....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
よ。それでは物が運ばん。この際は充分にお前自身の思う通りやってもらわんければ埒が明かん。それで、奥の人たちにも私が念のためにそのことを断わって置いたから、遠慮は....
取返し物語」より 著者:岡本かの子
された三井寺の方へ此の間じゅうからさいさい掛合われなされたけれど、一向取戻しは埒明かんと言うことじゃ』 信徒二『そりゃ初耳じゃ。どうして返さんのじゃろ。どだい、....