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明けし
「明けし〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
明けしの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「押絵の奇蹟」より 著者:夢野久作
参りましょう。そうしてお懐かしいお胸に縋《すが》って、今までの事をスッカリお打ち
明けして、心ゆくまで泣かして頂きましょう。 それが私のホントの運命なのでしょう....
「復讐」より 著者:夢野久作
夫の気もちが、第一わからなくて困っているんです……ですから、こんな内輪話をお打ち
明けした訳なんですが……」 「……成る程……」 と黒木は火鉢の灰を凝視めたまま....
「無惨」より 著者:黒岩涙香
入来り種々の事を問われたり固より我身には罪と云う程の罪ありと思わねば在りの儘を打
明けしに斯くは母と共に引致せられたる次第なり 以上の物語りを聞了りて荻沢警部は....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
とごとく吉《よし》、ただし春の詰まりに秋|吉《よ》けれども、物も作らぬ者いよいよ
明けし春までも貧なり。この年半ばの頃よりも年号替わるなり云々とありて、永正四|丁....
「『尚書』の高等批評」より 著者:白鳥庫吉
據れるに見ば、堯典の暦を作れるものは、十二宮及び二十八宿の智識を有せしものなるや
明けし。然らば何故にそが十二宮なり二十八宿なりにて劃一せられずして、却て相混合せ....
「かげろうの日記」より 著者:堀辰雄
朝になって、何だかそのままにして置いても気になるし、それかと云って戸をちょっとお
明けしなかった間ぐらいはとも思うものだから、私は「歎きつつひとりぬる夜の明くるま....
「坂田の場合」より 著者:豊島与志雄
げるといいました。けれど、乳母は受取ろうとしません。罪を許していただくためにお打
明けしたので、お着物を頂戴するためではありません、といってきかないんです。でもと....
「山吹の花」より 著者:豊島与志雄
わたくしの方では、心に咎めて、長い間悩みました。そして、そのことをあなたにお打ち
明けしたら、気が静まるだろうと思いまして、恥をしのんで申上げることにしました。 ....
「妾の半生涯」より 著者:福田英子
きつつまた腹立たしさの遣《や》る瀬《せ》なく、骨肉の兄と思えばこそかく大事を打ち
明けしなるに、卑怯《ひきょう》にも警察に告訴して有志の士を傷《きず》つけんとは、....
「桜花を詠める句」より 著者:杉田久女
期から、かな女氏につぐ老練な作家。共にあけぼのの桜を題材として、片方は次第次第に
明けしらみゆく花をうたい、他方はなおもことして霞になずむ桜花をたたえて共に清楚な....
「月世界競争探検」より 著者:押川春浪
いずれも博士が、まだ出発せざる以前より深くも嬢に心をよせ己が胸中のありたけを打ち
明けしも、嬢は二人の情に絆されていずれとも答えかねしが、今二人のこの申込に対し、....
「空家」より 著者:宮崎湖処子
に戸を敲《たた》くものありき、彼は愕として飛び立ちしが気を静めておそるおそる戸を
明けしに、その友の一人なる壮年なりき、突然とし彼は曰《い》えり、「佐太郎和主も来....
「審判」より 著者:カフカフランツ
よくあの人のことを見ようと思うんですけれど、私の知っていることをあなたにだけお打
明けしたんです。結局のところ、こう考えるのは、自分の下宿をきれいにしておきたいと....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
拙者の言と軽んぜられ、二の足も三の足もお踏みでは何もならぬ。が、もうここまでお打
明けしたこと。……じつは」 猪首をかがめて、上わ眼で、高氏を睨むように見た。 ....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
んでいるだろうな。いい返辞を待っておるぞ」 ――兼好はもう先へ歩いていた。空は
明けしぶるような雲を低く垂れ、市中には犬の子一匹見えず、この朝の不気味さはまたか....