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「明けて〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

明けての前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
時、暗い夜の向こうに、――人間の目のとどかない、遠くの空に、さびしく、冷ややかに明けてゆく、不滅な、黎明《れいめい》を見たのである。 「この子は――この子は、わ....
奇遇」より 著者:芥川竜之介
くなるかも知れない。それでは僕も不本意だから、この際君に一切の事情をすっかり打ち明けてしまおうと思う。退屈でもどうか一通り、その女の話を聞いてくれ給え。 「僕は....
古千屋」より 著者:芥川竜之介
のし》り立てるのは気味の悪いものだったのに違いなかった。 そのうちに夜《よ》は明けて行った。直孝《なおたか》は早速《さっそく》古千屋《こちや》を召し、彼女の素....
妙な話」より 著者:芥川竜之介
には、気がつかないような顔をしている。そこでとうとうその事については、誰にも打ち明けて話さずにしまった。所が日本へ帰って来ると、現に千枝子は、二度までも怪しい赤....
二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
なたは疑っていらっしゃるのでしょう。そうでしょう。それなら、何故《なぜ》そうと打明けてくださらないのです。」妻はこう申して、私を責めました。世間が、妻の貞操《て....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
のです。新蔵はもしやお島婆さんの所へでも、行ったのじゃないかと思いましたが、打ち明けてそう尋ねる訣《わけ》にも行かず、また尋ねたにした所で、余人の知っている筈も....
或る女」より 著者:有島武郎
しょうが、真直《まっすぐ》なあなただと思いますから、わたしもその気で何もかも打ち明けて申してしまいますのよ。わたしの性質や境遇はよく御存じですわね。こんな性質で....
或る女」より 著者:有島武郎
す。けれどもあなたは……どうしてあなたはそんな気象でいながらもっと大胆に物を打ち明けてくださらないんです。僕《ぼく》はなんといってもあなたを信ずる事ができません....
僕の帽子のお話」より 著者:有島武郎
行きました。だんだんそこいらが明るくなり、神鳴《かみな》りが鳴り、しまいには眼も明けていられないほど、まぶしい火の海の中にはいりこんで行こうとするのです。そこま....
星座」より 著者:有島武郎
供のように澄んだ眼でじっとラムプを見つめながら、ぷつりぷつりと乾いた西洋紙に孔を明けている園の様子が見えるようだった。 「何を勉強しているの」 園に対してはど....
最終戦争論」より 著者:石原莞爾
クルグル廻る。しかも破壊兵器は最も新鋭なもの、例えば今日戦争になって次の朝、夜が明けて見ると敵国の首府や主要都市は徹底的に破壊されている。その代り大阪も、東京も....
」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
うして声を立てずにいつも寝る土の上に寝た。いつもと違って人間の香がする。熱いので明けてある窓からは人の呼吸が静かに漏れる。人は皆な寝て居るのだ。犬は羨ましく思い....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
さながら一|幅の絵巻物をくりひろげたような、実に何とも言えぬ絶景でございました。明けても暮れても、眼に入るものはただ山ばかり、ひたすら修行三昧に永い歳月を送った....
ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
らないのだ。同じ観念、同じ悦び、同じ諧謔、同じ習慣、同じ信仰、同じ倦怠のうえを、明けても暮れてもただぐるぐると――。 今夜は霧が深くたち籠めている。霧は並木路....
初雪」より 著者:秋田滋
* * * * 年が明けて、まだ幾日もたたない頃のことだった。彼女は大きな不幸に見舞われた。乗物の事....