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「明けても暮れても〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

明けても暮れてもの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
隅には寝床が延べてあった。先月の末から十日あまりも吉原の三つ蒲団に睡らない彼は、明けても暮れても宿の二階に閉じ籠って、綿の硬いごつごつした衾《よぎ》にくるまって....
箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
眼をしてはいって来た。いつもの薬を煎じようかと言ったが、綾衣はいらないと言った。明けても暮れても薬ばかり飲んでいては生きている甲斐がないと、彼女はさびしく笑った....
両国の秋」より 著者:岡本綺堂
りは、ほんとうに胸の休まる筈はないと自分でも思っていた。男を引き戻したい。お絹は明けても暮れても唯そればかりを念じていた。そんなら去年なぜ出してやったかと自分の....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
になってしまいました。それを考えると、わたくしは何だか師匠を見殺しにしたようで、明けても暮れても気が咎めてなりませんから、毎月その詫びながら墓参りには欠かさずに....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
。あまりの嘆きに取りつめて母の奥方は物狂おしくなった。祈祷や療治も効がなかった。明けても暮れても姫の名を呼んで、どうぞ一度逢わせてくれと泣き狂うので、屋敷中の者....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
釣り寄せるつもりか。貴様の親子はなんという奴らだ。まじめな百姓わざも出来ないで、明けても暮れても殺生ばかりしていやあがる。おれたちの六親眷族はみんな貴様たちの手....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
さながら一|幅の絵巻物をくりひろげたような、実に何とも言えぬ絶景でございました。明けても暮れても、眼に入るものはただ山ばかり、ひたすら修行三昧に永い歳月を送った....
」より 著者:織田作之助
登勢は自分を憐れむまえにまず夫の伊助を憐れんだ。 伊助は襷こそ掛けなかったが、明けても暮れてもコトコト動きまわった。しかし、客の世話や帳場の用事で動くのではな....
女性の諸問題」より 著者:倉田百三
母はそのまま押し返して、厳しい、諫めの手紙を与えた。 「山に登らせたまひしより、明けても暮れても床しさは心を砕きつれども、貴き道人となしたてまつる嬉しやと思ひし....
ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
らないのだ。同じ観念、同じ悦び、同じ諧謔、同じ習慣、同じ信仰、同じ倦怠のうえを、明けても暮れてもただぐるぐると――。 今夜は霧が深くたち籠めている。霧は並木路....
番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
、小石川の伯母御様の御なこうどで、飯田町の御屋敷から奥様がお輿入れになりそうな。明けても暮れてもそればっかりが胸につかえて……。恐れながら殿様のお心を試そうとて....
道なき道」より 著者:織田作之助
。むしろ、良い母親といってもよかった。 しかし、夫の庄之助が今日この頃のように明けても暮れても寿子にかまけていて、礼子自身腹を痛めた弟や妹たちとはくらべものに....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
を遣って見せるというのとで、初日前の噂はなかなか高かったが、さて開場してみると、明けても暮れても薄暗い陰気な場面ばかりだという不評で、一向に客足が付かなかった。....
画工と幽霊」より 著者:岡本綺堂
、私の臆病には自分ながら愛想の竭きる位で、倫敦へ帰った後も、例の貴婦人の怖い顔が明けても暮れても我眼に彷彿いて、滅多に忘れる暇がない。そこで私も考えた、自分の職....
宝永噴火」より 著者:岡本かの子
は「禅関策進」を懐へ入れて部屋へ帰った。 それから慧鶴の行状はすっかり変った。明けても暮れても座禅に熱中した。眠くなれば事実、膝を錐を刺すようなことをして意識....