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「明け方〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

明け方の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
が、するような事をして、いつでも夜を明かした。 日の暮れに来て、夜《よ》のひき明け方に帰る。――あれが、それでも一月《ひとつき》は続いたろう。そのうちに、おれ....
袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
。私の持っていたさまざまな夢は、一度にどこかへ消えてしまう。後にはただ、雨のふる明け方のような寂しさが、じっと私の身のまわりを取り囲んでいるばかり――私はその寂....
星座」より 著者:有島武郎
が狂暴に泣きわめいていた。清逸は誰のともしれない下駄を突っかけて、身を切るような明け方近い空気の中に立った。 その時清逸はまたある一種の笑いの衝動を感じた。し....
軍用鮫」より 著者:海野十三
前にのぞむ屏風岩に帰ってきた。 大襲撃の銅鑼《どら》が鳴ったのは、その次の日の明け方であった。 それは近代海戦史上空前の大激戦であった。わずか三十九分のうち....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
窺うと、襖は元のように閉まっていて、蚊帳のそとには蚊の鳴き声さえも聞えなかった。明け方になって陽気がすこし涼しくなると、宵からの気疲れでお蝶はさすがにうとうとと....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
紫のような光に燃えて、山ふところの雪までも透明な藤色に染めてしまう。それにしても明け方のこの暖かい光の色に比べて、なんという寒い空の風だ。長い夜のために冷え切っ....
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
て、胸苦しくもあったし、また何物かがあたまの心をこづいているような工合であった。明け方になって、いつのまにか労れて眠ってしまったのだろう、目が醒めたら、もう、昼....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
開きにしてしばらく鼾をかいていた。ようやく薬力が薄らいで、復一が起き上れたのは、明け方近くだった。 雨は止んで空の雲行は早かった。鉛色の谷窪の天地に木々は濡れ....
河明り」より 著者:岡本かの子
比須講か何かあって、徹夜の宴会ですから、母親は店へ泊って来る筈です。ところが夜の明け方まえになって、提灯をつけて帰って来ました。そして眼を覚ました僕の枕元に座っ....
四次元漂流」より 著者:海野十三
が木見さんの家をおそったものなら、夜中に叫び声が聞えそうなものだ。それとも強盗が明け方までがんばったのだろうか。それなら道夫が今朝学校にでかける頃には、もうたい....
火薬船」より 著者:海野十三
クか。そのハルクは、きっとうまくやるだろうね。毒蛇を仕こんでおいたステッキの蓋の明け方を、彼はよくおぼえただろうね。あれは、知らない者がやっても、決して明かない....
野のはくちょう」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
あって、さんび歌をうたいますと、それがなぐさめにもなり、げんきもついて来ました。明け方のうすあかりでみると、空気はすみきって風もおだやかでした。お日さまがのぼる....
阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
の中に揺られて来た。村人はぐっすり寝込んでいたので、皆知らなかった。出て行く時は明け方近かったがそれがかえって人目を引いた。こっそり調べ出した結果に拠ると、船は....
月の夜がたり」より 著者:岡本綺堂
のすわった人であったらしい。それにもう一つの幸いは、その怪しいものは夜半に出て、明け方には消える。ことに一年にたった一度のことであるので、細君をはじめ家内の人た....
鴎外博士の追憶」より 著者:内田魯庵
時間しか寝なかったそうだが、四時間寝るのを豪がる事はないさ、」と平気な顔をして、明け方トロトロと眠ると直ぐ眼を覚まして、定刻に出勤して少しも寝不足な容子を見せな....