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明り窓
「明り窓〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
明り窓の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新生」より 著者:島崎藤村
は部屋々々を歩き廻って見た。北向の部屋の外から勝手の方へ通う廊下の屋根には小さな
明り窓があって、その窓から射す日暮時の光が廊下に接した小部屋の障子を薄明るく見せ....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
ねてきたのは、とりもなおさず、あの高窓のうちに棲んでいる人物だったのである。あの
明り窓の内部には、「深夜の市長」が城東で起った殺人事件の証拠物件を、彼の手紙とと....
「夜泣き鉄骨」より 著者:海野十三
が、これは、なんて薬かい」 「うん、なんか附いてはいるが――」若い男は注射器を、
明り窓の方に透かして、その茶色の汚点に眺め入った。「電灯は点きませんか」 「生憎....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
が今度新たに奉公に来た。 おまんが梯子を降りて行ったあと、吉左衛門はまた土蔵の
明り窓に近く行った。鉄格子を通してさし入る十一月の光線もあたりを柔らかに見せてい....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
宅としても間取りの具合なぞは割合に奥行き深く造られてある。中央に廊下がある。高い
明り窓は土蔵造りの屋内へ光線を導くようになっている。飼われている一匹の狆もあって....
「二人いるとき」より 著者:宮本百合子
っていて、東の高窓際にミシンがおかれ、仕事テーブル、アイロン台と、順に低い一間の
明り窓に沿って並んでいる。赤い三徳火鉢に炭団《たどん》を埋めたのを足煖炉代りにし....
「鬼仏洞事件」より 著者:海野十三
。 鬼気せまる鬼仏洞内での双方の会見は、お昼前になって、ようやく始まった。尤も
明り窓一つない洞内では昼と夜との区別はないわけである。 ○○権益財団側からは、....
「流線間諜」より 著者:海野十三
」 と呻って、石のように固くなった。五メートルと離れないところに、鉄管の一部が
明り窓のように黄色く輝いているのだった。よく見ると、それはさっき彼が押し上げたの....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
りしたことを、風通しのよい、青い林檎《りんご》の実ったのが目のさきにある奥二階の
明り窓のきわで、小粒《こつぶ》や二朱金《にしゅきん》を金盥《かなだらい》で洗った....
「蛋白石」より 著者:宮本百合子
ずに居るのを見るとほんとうにみじめだったってね。 でも私が今思い出せるのは倉の
明り窓からのぞいた隣の家の庭だけです。 まるで女の様に静かに育ったんですからね....
「狼疾記」より 著者:中島敦
ざくろいし》、結晶面をギラギラ光らせている黄銅鉱……余り明るくない部屋で、天井の
明り窓から射してくる外光が、端正な結晶体どもの上に落ち、久しく使わなかった標本の....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
塗られている。壁にあるのは円形の窓で、天井にあるのはこれも円形の、玻璃で造られた
明り窓で、そこに灯火が置いてあると見え、そこから鈍い琥珀色の光が、部屋を下様に照....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
と相談して伝法院の庭続きの茶畑を拓き、西洋型の船に擬えた大きな小屋を建て、舷側の
明り窓から西洋の景色や戦争の油画を覗かせるという趣向の見世物を拵え、那破烈翁や羅....
「秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
わしている。樺の大木が多くなった。明るさが葉を振り落した枝から幹を伝って、隧道の
明り窓のようにさし込んでくる。笹が復繁り出して、私達はいつか長い登りに懸っていた....
「黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
でが奥深く続いている。見上ぐる谷の空は両方からのし懸る山と山との間に仕切られて、
明り窓のように細長い。其筈である。向う岸は八百米もある百貫山の急斜面が手の届く程....