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「明るみ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

明るみの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
》のように、塔の九輪や伽藍《がらん》の屋根を、おぼつかなく光らせながら、ほのかな明るみと影との中に、あらゆる物象を、ぼんやりとつつんでいる。町をめぐる山々も、日....
袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
。辱《はずかし》められ、踏みにじられ、揚句《あげく》の果にその身の恥をのめのめと明るみに曝《さら》されて、それでもやはり唖《おし》のように黙っていなければならな....
忠義」より 著者:芥川竜之介
室には、密々で行わなければならない。彼は、ここまで思案をめぐらした時に、始めて、明るみへ出たような心もちがした。そうして、それと同時に今までに覚えなかったある悲....
或る女」より 著者:有島武郎
いちばん美しいように、闇《やみ》の中にさびしくひとりでいて、その多恨な目でじっと明るみを見つめているような少女だった。 葉子は倉地が葉子のためにして見せた大き....
星座」より 著者:有島武郎
んでも純次はやはりさすり続けていた。清逸は喀痰《かくたん》を紙に受けていくらかの明るみにすかしてみた。黒い色に見えて血がかなり多量に吐きだされていた。彼は咄嗟に....
紅黄録」より 著者:伊藤左千夫
の太陽が、細く強い光を投げて、稲田の原を照り返しうるおいのある空気に一種の色ある明るみが立った。この一種の明るみが田園村落をいっそう詩化している。大きく畝をなし....
とむらい機関車」より 著者:大阪圭吉
、五日前から、再び以前の様にヒステリカルな雰囲気に戻ったとの事――等々が、追々に明るみへ出されて来たんです。 ――いやどうも、片山助役のこの徹底した調査振りに....
もくねじ」より 著者:海野十三
るまで、ぼくは睡りつづけたのである。 それから数十日|経って、ぼくは久しぶりに明るみへ出た。 そこは、倉庫の中であった。でっぷり肥えた中年の人間が――倉庫係....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
、はなはだむずかしいことになるであろうし、また飛行島が隠しもっている意外な武器も明るみに出て、その攻撃力が少からず殺がれてしまうであろう。試運転は闇夜にかぎるの....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
歩きして、半襟も、色白な横顔も、少し俯向けるように、納戸から出て来たのが、ぱっと明るみへ立つと、肩から袖が悄れて見えて、温室のそれとは違って、冷い穴蔵から引出し....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
そうな掘立一室。何にも無い、畳の摺剥けたのがじめじめと、蒸れ湿ったその斑が、陰と明るみに、黄色に鼠に、雑多の虫螻の湧いて出た形に見える。葉鉄落しの灰の濡れた箱火....
街頭」より 著者:岡本かの子
から左から赤や水色の紫外光線が足元を掬う。ここでは物は曖昧でいる事は許されない。明るみへ出て影を※ぎとられるか闇に骨まで呑み込まれてしまうかだ。 行列の前の方....
鉄の処女」より 著者:大倉燁子
何かあったと怪しまれるでしょう? 結局兄の問題などが表面に出て来て、暗闇みの耻を明るみへ晒らさなければなりません。私はそれを何より怖れたんです。そこで策略をめぐ....
美人鷹匠」より 著者:大倉燁子
。立派な人格者と評判されている夫が、小間使に子供を産ませたなどと、そんな不行跡を明るみに晒らされてはたまったもんじゃない、夫の不名誉は妻の不名誉でもあるから――....
情鬼」より 著者:大倉燁子
るのだった。 宮本夫人と聞くと、久子さんは急に眉を曇らせた。兄の昔の過失を今更明るみへ引き出されて、詮議だてされることは辛かったのだろう。 「宮本さんは兄が亡....