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明るむ
「明るむ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
明るむの前後の文節・文章を表示しています。該当する5件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「冬の日」より 著者:梶井基次郎
の外の屋根瓦には月光のような霜が置いている。それを見るときにだけ彼の心はほーっと
明るむのだった。 固い寝床はそれを離れると午後にはじまる一日が待っていた。傾い....
「富士」より 著者:岡本かの子
の尖から何やら煙のようなものの燻《くすぶ》り出るのが見えるようでもある。 薄れ
明るむ雲の垂れ幕とたそがれる宵闇の力とあらがう気象の摩擦から福慈岳の巨体は、巨体....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
線路も颯と赤く染まる。稲を潜って隠れた水も、一面に俤立って紫雲英が咲満ちたように
明るむ、と心持、天の端を、ちらちら白帆も行きそうだった。 またこれに浮かれ立っ....
「鱗粉」より 著者:蘭郁二郎
それと対照的に、ついさっき塗られたばかりらしいルージュの深紅と血潮とが、ぼーっと
明るむたびに、火のように眼に沁るのだ。 太陽のもとでは、さぞ酷らしいであろうそ....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
「中宮のお供たち。早や御車を返されい。ぐずぐずしていると道を塞がれるぞ」 空も
明るむ。六波羅中は、黒い霞の中で、俄に活動し出すような物の気配だった。 いやお....