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明徹
「明徹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
明徹の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「フランス哲学についての感想」より 著者:西田幾多郎
的なものがある。優れたフランスの思想家の書いたものには、ショペンハウエルが深くて
明徹なスウィスの湖水に喩《たと》えたようなものが感ぜられる。私はアンリ・ポアンカ....
「運命」より 著者:幸田露伴
能く其の是非を判せんや。高巍の説は、敦厚悦ぶ可しと雖も、時既に晩く、卓敬の言は、
明徹用いるに足ると雖も、勢|回し難く、朝旨の酷責すると、燕師の暴起すると、実に互....
「ウォーソン夫人の黒猫」より 著者:萩原朔太郎
黄色味のある皮膚をもった神経質の女であった。しかし別に健康には異状がなく、いつも
明徹した理性で事務を整理し、晴れやかの精神でてきぱきと働らいていた。要するに彼女....
「安重根」より 著者:谷譲次
プション・ルウムのごとく準備してある。車輪とピストンの規則正しい轟音。車窓の外の
明徹な日光に粉雪が踊っている。 伊藤公出迎えのため便乗せる東清鉄道民政部長アファ....
「浴槽の花嫁」より 著者:牧逸馬
もわかるように、彼はじつに組織的な時としてははるかに普通人を凌駕《りょうが》する
明徹な頭脳の所有者だった。普段は怠惰《たいだ》なくせに、「浴槽の花嫁」の場合にだ....
「科学と文学」より 著者:寺田寅彦
場合にすぐれた科学者の論文は文章としてもまた立派なものであるように見える。文章の
明徹なためには頭脳の
明徹なことが必須条件である。頭脳が透明であるのに母国語で書い....
「詩の原理」より 著者:萩原朔太郎
の芸術」が求めるものは、主としてこの前の方の美に属する。故に彼等は、純美としての
明徹した智慧《ちえ》を悦《よろこ》び、描写と観照の行き届いた、表現の芸術的に洗煉....
「ヒルミ夫人の冷蔵鞄」より 著者:海野十三
があっていいものだろうか。 夫人は急にブルブルと寒む気を感じた。 だが夫人の
明徹な脳髄は、一方に於て恐れ戦き、そしてまた一方に於てその意味なき幻影を意味づけ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
た。そして、古典者流のある変形した特質を、近代フランス人のうちに認めた。あまりに
明徹な眼が、婀娜《あだ》な老婦人のしぼんだ顔のうちに、その娘の純粋な顔だちを見て....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
ある。しかしそれにもかかわらず、なぜか夢を好んでいたように見える。 鴎外はあの
明徹な叙事の中にしばしば夢を織り込んだ。『青年』にも『大塩平八郎』にも夢の描写が....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
、巧みに「夜話」の中の言葉を利用した。そして、その間にかれが示した気魄と機知と、
明徹な論理と、そして自然のユーモアとは、異変に眩惑されていた塾生たちを常態に引き....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
熱をあたえるのも消化である。若い男女に愛の欲望をあたえるのも消化である。思想化に
明徹な観念をあたえるのも、すべての人間に生きる悦びをあたえるのもやはり消化である....
「地上」より 著者:島田清次郎
ことであった。 その日は朝からじり/\焼け爛れそうな日であった。これほど熱烈に
明徹に燃焼した日が地上にあり得ようかと思われた。地上の物象が燃え上らないのがお光....
「ホオムズの探偵法」より 著者:平林初之輔
助手であるワトソンである。 二 ホームズの性格 「すべての感情は、彼の、冷静な、
明徹な、それでいて見事に調和のとれた心と相容れない。とりわけ恋愛という感情はなお....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
を楽しましむるその中に、碧空には明月が皎々と冴え切って居るです。いわゆる
氷光
明徹裡の寒月
を見てそぞろに故郷を懐い、あるいはその凄じき清らかなる状態を想....