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明澄
「明澄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
明澄の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「みちのく」より 著者:岡本かの子
そうじ》をして一飯の雑作に有りついた。誤解や面倒がる関門を乗り越《こ》して四郎の
明澄性《めいちょうせい》はそれらの町々の人の心をも捉《とら》えた。 「四郎馬鹿さ....
「旅愁」より 著者:横光利一
近の裏小路らしい風景だったが、崩れない確実な筆触の美しさは佐佐の頑固さと同時に、
明澄な純粋さを保持しつづけようとして苦しんでいる、彼の性格もよく現した絵だった。....
「木犀の香」より 著者:薄田泣菫
だんだん闌けてゆくにつれて、紺碧の空は日ましにその深さを増し、大気はいよいよその
明澄さを加へてくる。月の光は宵々ごとにその憂愁と冷徹さを深め、虫の音もだんだんと....
「モルガンお雪」より 著者:長谷川時雨
んな気持ちのところに、いたことがあっただろうか――」 お雪は思いがけないほど、
明澄《めいちょう》な天地に包まれて、昨日《きのう》まで、暗い、小雨がちな巴里《パ....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
を追って脚色の上に少しも矛盾撞着を生ぜしめなかったのは稀に見る例で、作者の頭脳の
明澄透徹を証拠立てる。殊に視力を失って単なる記憶に頼るほかなくなってからでも毫も....
「二つの松川」より 著者:細井吉造
れない連続を、一本の糸で縫いあげたような眺めだった。そんなところでも水そのものの
明澄美を汲みとることは困難だったほどである。水の美しさは谷の相をやわらげるけれど....
「藤村の個性」より 著者:和辻哲郎
その卒直な態度のゆえに、また物を言い切る明快さのゆえに、物の形のくっきりとした、
明澄な世界を作り出すことができるであろう。そういう作の中には、非常によい人物と、....
「噴水物語」より 著者:岡本かの子
う土人の煙草なぞはおよそ不健康な恍惚の痺れです。噴水の恍惚は醒めたあと愈々精神を
明澄にします」 ちょうどこの時分英国にはコナン・ドイルの神秘主義というものが流....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
集』に四十九首の創作|今様をのこしたし、鴨長明のこころみた『方丈記』の散文体は、
明澄の理智を写すに適したはずであった。何故に純正詩歌の上では、新詩型の誕生がなさ....
「三国志」より 著者:吉川英治
下の下策というもので、私は絶対に賛成できません」 「よく申した」 曹操の頭脳は
明澄である。彼の血は熱しやすく、時に、また濁りもするが、人の善言をよくうけ入れる....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
る不思議な輝きの度合だけ、天才精神に参与しているのである。――この輝きは精神の、
明澄でしかも痛切な瑜珈のようなものである。」 ドイツ音楽の巨匠たちに相通じる最....