明礬[語句情報] » 明礬

「明礬〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

明礬の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
らであった。いや、飛び越えようとしたばかりではない。彼は足を縮《ちぢ》めながら、明礬色《みょうばんいろ》の水の上へ踊り上ったと思う内に、難なくそこを飛び越えた。....
夫婦善哉」より 著者:織田作之助
らも、まじないに、屋根瓦《やねがわら》にへばりついている猫《ねこ》の糞《ふん》と明礬《みょうばん》を煎《せん》じてこっそり飲ませたところ効目《ききめ》があったの....
茶の本」より 著者:岡倉覚三
を焦がしたり、循環を助けるためにからだの中へ針金をさし込むこともあろう。塩、酢、明礬、時には硫酸を食事に与えることもあろう。お前たちは今にも気絶しそうな時に、煮....
猿飛佐助」より 著者:織田作之助
蛭に血を吸わせた方が効きますぜ」 「いや、蛭よりも鼠の黒焼きを耳かきに一杯と、焼明礬をまぜて、貼りつけた方が……」 そう言ったのは、膳所の十六である。 「やい....
雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
―」 「ねむり薬も、ねむり薬、こんな利くのは天下に類がねえ――しかも、こっちは、明礬《みょうばん》をしめした布で鼻をふさいでいれば、いっかな薬をうけつけずに済む....
十二支考」より 著者:南方熊楠
狐、狸、狗、鹿、鯨、また殊に膃肭獣《おっとせい》のタケリ、すなわち牡具《ぼぐ》を明礬《みょうばん》で煮固めて防腐し乾したのを売るを別段不思議と思わず。予が有名な....
棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
っくらな絶望の闇のなかに、ほのかな光り物を見つけた。僕は眼を皿のように見張った。明礬をとかしたように、僕の頭脳は急にハッキリ滲んできた。そうだ、まだミチミを救い....
一九二七年春より」より 著者:宮本百合子
しく山と谷とのきざみめ深し 木曾のつり橋 落合川辺の木曾川の水は深く明礬《みょうばん》色で、崖や枯木の茶色と対照す 幅もひろし。 〔欄外に〕この....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
魂を埋めた泥と見えて、米友の精根を以てしても、なかなか落ちないのであります。 「明礬《みょうばん》の水ででも洗ったらどうだか、只じゃなかなか落ちねえや」 黒血....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
頭炎《こうとうえん》が非常に流行して、パリーのセーヌ川付近を荒したことがあった。明礬《みょうばん》吸入の効果が大規模に実験されたのもその時のことであって、今日で....
甲州鎮撫隊」より 著者:国枝史郎
ために、俺んとこの植木は精がよくなるのさ」 「まるで珠でも融かしたようですねえ。明礬水といっていいか黄金水といっていいか」 「まあ黄金水だなア」 「滝も立派です....
猿ヶ京片耳伝説」より 著者:国枝史郎
まれた、可愛らしい小さい裸体の人形が、行水でも使っているように見えたことだろう。明礬質のこの温泉は、清水以上に玲瓏としていて、入浴っている人の体を美しく見せた。....
紅色ダイヤ」より 著者:小酒井不木
何と書いてあるか分かるか?」 と俊夫君は得意げに聞きます。 「分からない」 「明礬で書いてあるんだ」 「では水に入れると分かるね?」 「ああ」 俊夫君は棚か....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
黒一色の顎十郎のからす凧がひどく目立つ。 黒塗の上へ湿気《しっけ》どめにうすく明礬《どうさ》をひいてあるので、陽の光をうけて傾くたびに、ギラリと銀色に光る。 ....
澪標」より 著者:外村繁
、妻はどこが悪いのであろうか。 「明日、とにかく、癌研へ行って来ます」 白紙に明礬水《みょうばんすい》で書いた文字が炙り出されて来るように、昨夜、妻の言った言....