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明窓
「明窓〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
明窓の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母」より 著者:太宰治
山を背にして海に臨んだ小綺麗な旅館であった。 小川君の書斎は、裏二階にあった。
明窓浄几、筆硯紙墨、皆極精良、とでもいうような感じで、あまりに整頓されすぎていて....
「旧主人」より 著者:島崎藤村
えない先のことに恐れて、上草履を鳴らしながら板の間を歩いて見ました。 冬の光は
明窓《あかりまど》から寂しい台所へさしこんで、手慣れた勝手道具を照していたのです....
「藁草履」より 著者:島崎藤村
まあい》の温泉宿です。女亭主《かみさん》は蓬《ほう》けた髪を櫛巻《くしまき》で、
明窓《あかりまど》から夕日を受けた流許《ながしもと》に、かちゃかちゃと皿を鳴して....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
行って来てくれや」という辰さんの声がする。日の光は急に戸口より射し入り、暗い南の
明窓も明るくなった。「ああ、日が射して来た、先刻までは雪模様でしたが、こりゃ好い....
「家」より 著者:島崎藤村
が燃えた。この大きな、古風な、どこか厳しい屋造の内へ静かな光線を導くものは、高い
明窓で、その小障子の開いたところから青く透き徹るような空が見える。 「カルサン」....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
の扉はピッタリと閉め切ってあったが多分まだ朝が早いせいであったろう。その扉の上の
明窓から洩れ込んで来る、仄青い光線をたよりに、両側に二つ並んでいる急な階段の向っ....
「文士の生活」より 著者:夏目漱石
然し自分の気に入らぬ物なら、何万円の高価な物でも御免《ごめん》を蒙《こうむ》る。
明窓浄机《めいそうじょうき》。これが私の趣味であろう。閑適を愛するのである。 ....
「連環記」より 著者:幸田露伴
とも無く、好きな狩猟でもして、山野を馳駆して快い汗をかくか、天潤いて雨静かな日は
明窓|浄几香炉詩巻、吟詠翰墨の遊びをして性情を頤養するとかいう風に、心ゆくばかり....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
むりが、白くいぶったままこの部屋の端にまでたゆって来ている。
春長うして閑居。
明窓浄几《めいそうじょうき》とはいかなくても、せめて庭に対して経《きょう》づくえ....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
思ひ返してよきほどにあしらへり、もし心に任せたる世ならましかば彼ら如き輩を謝して
明窓|浄几の下に静に書を読むべきを、」と。二葉亭が全く文壇から遠ざかろうとして苦....
「国会図書館のこのごろ」より 著者:中井正一
錯、交渉、訓練等々目のまわるような忙がしさで、一日が終わってしまう。閑日月の中に
明窓浄机で本を読む世界と遠く離れた世界である。一冊も本を読めない私の一日が、副館....
「国会図書館の窓から」より 著者:中井正一
ているのである。 こんなに書いていってみると、もはや本を読むということは、浄机
明窓で静寂境の楽しみどころではなくして、私にとっては一つの大工場である。その工場....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
くして人手足らず、一方マイルに二人平均数なれば、目前の事業に追われて、悠然として
明窓浄几の下に静座沈思する余暇これなし。したがって、人民の快活にしてよく活動しお....