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昏迷
「昏迷〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
昏迷の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
、彼にとっては、いつか全く同一な世界になってしまう。彼は、時と所とを分かたない、
昏迷《こんめい》の底に、その醜い一生を、正確に、しかも理性を超越したある順序で、....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
(以下一八六字削除)それが、以前の貴方の場合とぴったり合ってしまうので、なおさら
昏迷《こんめい》の度が深められてまいるわけなのです。なにしろ、片方は死に、一方は....
「癩」より 著者:島木健作
しなかった。いや、彼のぶつかった不幸がまだあまりに真近くて彼自身がその中において
昏迷《こんめい》し、その不幸について考えてみる心の余裕を取り戻していなかったので....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
すぎているじゃないか」ととうてい解しきれないレヴェズの自殺心理が、検事をまったく
昏迷の底に陥れてしまった。彼は狂わしげに法水を見て、「法水君、この自殺の奇異な点....
「早すぎる埋葬」より 著者:佐々木直次郎
藪医術の犠牲になってしまった。彼は流電池をかけられたのだが、ときどき起るあの精神
昏迷の発作が起きて、とつぜん絶息したのである。 流電池のことを言えば、私は有名....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
杖を丁と振って、下より空さまに、鐘に手を掛く。鐘ゆらゆらとなって傾く。 村一同|
昏迷し、惑乱するや、万年姥、諸眷属とともに立ちかかって、一人も余さず尽く屠り殺す....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
そうなると、逢痴に対する愛着が、まったく厭わしいものになってしまって、再び彼は、
昏迷の泥沼へ深く沈みゆくのであった。 それは、往々に壮年者が見る、忌わしい艶夢....
「血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
幸蔵主の姥がやって来て、殿下のご機嫌がよくなくて、終日終夜の乱痴気騒ぎで、上下が
昏迷をしているのが、かえって俺には好都合なのさ。どさくさまぎれに申し上げて、殿下....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
て紋太郎が、脱兎のように戸口を目がけて逃げだしたのを、追おうともしないで見捨て、
昏迷った四人目の乾児が、 「チ、畜生オーッ」 と悲鳴のような声をあげて、滅茶滅....
「多神教」より 著者:泉鏡花
に幣を振り、飛より、煽りかかる人々を激しくなぎ払い打ち払う間、やがて惑乱し次第に
昏迷して――ほうほう。――思わず袂をふるい、腰を刎ねて)ほう、ほう、のりつけ、の....
「地上」より 著者:島田清次郎
たようにしかまってくる。すると身体全体が溶けるような倦怠と痛みを覚えて、無意識な
昏迷に引きずり入れられようとする。白光はうつむきがちな彼女の頸のきめの粗いざら/....
「遠野の奇聞」より 著者:泉鏡花
会に及び難きものあるもまた妙なり。山男に生捕られて、ついにその児を孕むものあり、
昏迷して里に出でずと云う。かくのごときは根子立の姉のみ。その面赤しといえども、そ....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
時筆を絶ってしまったのも二葉亭の鉄槌を受けたためであった。それがしの天才が思想の
昏迷を来して一時あらぬ狂名を歌われたのもまた二葉亭の鉄槌に虐げられた結果であった....
「澪標」より 著者:外村繁
んな他愛ない一駒《ひとこま》だけを残して、私の記憶は断ちきられ、その前後には深い
昏迷の世界が拡がっているばかりである。 祖父の葬儀の当日、私は白張提灯を持って....