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易々
「易々〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
易々の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
は殆んど不可能だ。だから人は人をさばいてはならぬのだ。しかも今の世に、人はいかに
易々とさばかれつつあることよ。 × 犠牲とか、献身とか、義務と....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
た綱で道路に降り立った。 空も路も暗かった。三人はポルタ・ヌオバの門番に賂して
易々と門を出た。門を出るとウムブリヤの平野は真暗に遠く広く眼の前に展け亘った。モ....
「電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
男湯の方の感電を計画し、またそれを遂行するための技術上の操作は、十分間も要さずに
易々と行われた。それが終ると、彼はかねて探って置いた、由蔵の秘密の娯しみ場所たる....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
の違いからも、随分無理な心理の働かせ方なのだが、かの女のロマン性にかかるとそれが
易々と出来た。 ふだんから、かの女は地球上の土地を、自分の気持の親疎によって、....
「河明り」より 著者:岡本かの子
荷夫を指揮していた娘を想い出した。そして、この捌けて男慣れのした様子は、あまりに
易々としたところを見せているので、私はまたこれが娘の天成であって、私が付合い、私....
「カンカン虫殺人事件」より 著者:大阪圭吉
上皮ではなくあの屍人のそれの様に一枚下の厚い奴の事だよ。そう言う皮膚は、あんなに
易々と傷口の周囲までまくれて了うものかね? 僕はそう思えないんだ。只、もう息の通....
「二、〇〇〇年戦争」より 著者:海野十三
ラック大将は、もうその場に居たたまらないという風に、椅子から立ち上った。 「こう
易々と、敵軍のため、自国領土内へ侵入されるなんて、予想もしなかったことだ。わがス....
「女性崇拝」より 著者:岡本かの子
しく女性尊重を放送しないフランス人が、家庭は全く主婦の女王の傘下に従順に温まって
易々諾々である。フランス人に言わせるとこの方が生活にも人生にも利口なやり方だと言....
「醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
みんないったん水の中に頭がかくれましたが、見る間にまた出て来ます。そしていかにも
易々と脚の下に水を掻き分けて、見事に泳ぎ廻るのでした。そしてあのぶきりょうな子家....
「映画と民族性」より 著者:伊丹万作
際性が決して価値に比例しない実例を見る。 優れた作品を作りさえすれば、それらは
易々と国外に進出するという楽観論は、芸術に国際性のみを認めて民族性のあることを見....
「麻畑の一夜」より 著者:岡本綺堂
、まず寝ている人間の胸の骨をぐっと押すと、骨は砕けてひと息に死んでしまう。それを
易々と担いで行くんだということです。たといひと息に死に切らないものでも、その恐ろ....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
み千坪十円ぐらいで払下げ出来た時代の三千円は決して容易でなかったので、この奇利を
易々と攫んだ椿岳の奇才は天晴伊藤八兵衛の弟たるに恥じなかった。が、世間を思切って....
「活人形」より 著者:泉鏡花
婆に出逢い、一条の物語に少しく隙の取れたるにぞ、いでこの時と泰助は、下枝を抱きて
易々と庭口に立出づれば、得右衛門待受けて、彼はお藤を背に荷い、これは下枝を肩に懸....
「呼ばれし乙女」より 著者:岡本かの子
寂しい出来事だったに違いなかった。 今、山道で久しぶりに慶四郎の傍にいて、何か
易々とした安心にゆるんで来て千歳は子供のときのように、うっかり慶四郎にもたれかか....
「鳩つかひ」より 著者:大倉燁子
。とにかく彼奴を捕えて泥を吐かせたら何か得るところがあるだろう」 「もう唖の権は
易々とは見つかりますまい、鳩つかいは彼奴を隠すに定っているから」と云って今度は主....