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「昔に〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

昔にの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
狂女」より 著者:秋田滋
な女がひとり住んでいた。たび重なる不幸で頭が変になってしまったんだね。話はすこし昔にかえるが、この女は二十五の年紀に、たった一月のうちに、その父親と夫と、生れた....
開化の良人」より 著者:芥川竜之介
です。そこで私がもう一度、『じゃ君は彼等のように、明治の世の中を神代《かみよ》の昔に返そうと云う子供じみた夢のために、二つとない命を捨てても惜しくないと思うのか....
片恋」より 著者:芥川竜之介
い。」さ。 それから、まだあるんだ。「それがそうでなかったら、私だって、とうの昔にもっと好い月日があったんです。」 それが、所謂片恋の悲しみなんだそうだ。そ....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
通り、青い吐物《とぶつ》の流れた中に、冷たい体を横たえていた。これは彼女もとうの昔に、覚悟をきめていた事だった。前の犬には生別《いきわか》れをしたが、今度の犬に....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
これは勿論《もちろん》何びとにも甚だ困難なる条件である。さもなければ我我はとうの昔に礼譲に富んだ紳士になり、世界も亦とうの昔に黄金時代の平和を現出したであろう。....
俊寛」より 著者:芥川竜之介
髪も延びて御出《おい》でになれば、色も日に焼けていらっしゃいましたが、そのほかは昔に変らない、――いや、変らないどころではありません。昔よりも一層《いっそう》丈....
少年」より 著者:芥川竜之介
ある。云わば Delphi の巫女《みこ》である。道の上の秘密《ひみつ》もとうの昔に看破《かんぱ》しているのに違いない。保吉はだんだん不平の代りにこの二《ふた》....
早春」より 著者:芥川竜之介
が、彼の恋愛は全然|冷《ひ》え切っていないのかも知れない。さもなければ彼はとうの昔に博物館の外を歩いていたのであろう。もっとも情熱は失ったにもせよ、欲望は残って....
偸盗」より 著者:芥川竜之介
払わずに、杖をつきつき歩いてゆく。―― 通い慣れた道ではあるが、自分が若かった昔にくらべれば、どこもかしこも、うそのような変わり方である。自分が、まだ台盤所《....
」より 著者:芥川竜之介
頭を靠《もた》せたまま、全然当面の問題とは縁のない詠嘆の言葉を落した。 「何だか昔に返ったような気がするわね、この椅子にこうやって坐っていると。」 広子は彼女....
報恩記」より 著者:芥川竜之介
ているつもりでしたから、余計に金《かね》の入用もあったのです。 町は勿論とうの昔に人通りを絶っていましたが、星ばかりきらめいた空中には、小《お》やみもない風の....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
頭の土左衛門が一人うつむけに浪にゆすられていた。…… 両国橋の袂にある表忠碑も昔に変らなかった。表忠碑を書いたのは日露役の陸軍総司令官大山巌公爵である。日露役....
三つの窓」より 著者:芥川竜之介
う△△の運命を思えば、彼の生涯は少くとも喜びや苦しみを嘗め尽していた。××はもう昔になったある海戦の時を思い出した。それは旗もずたずたに裂ければ、マストさえ折れ....
路上」より 著者:芥川竜之介
持って生れた性格と今日《こんにち》まで受けた教育とに煩《わずら》わされて、とうの昔に大切な、信ずると云う機能を失っていた。まして実行する勇気は、容易に湧いては来....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
した能力が初めて起ったのは、実に大正五|年の春の事で、数えて見ればモー二十|年の昔になります。最初彼女に起った現象は主として霊視で、それは殆んど申分なきまでに的....