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「映し出す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

映し出すの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
映画時代」より 著者:寺田寅彦
飛躍であった。見て来た人の説明を聞いても、自分の目で見るまでは、色彩のある絵画を映し出す影絵の存在を信ずる事ができなかった。そして始めて見た時の強い印象はかなり....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
りを揺れて行く。夜更けのような濃い闇の色は、硝子窓を鏡にして、かの女の顔を向側に映し出す。派手な童女型と寂しい母の顔の交った顔である。むす子が青年期に達した二三....
鼻の表現」より 著者:夢野久作
。 かようにして鼻の表現は、人間に記憶力なるものが存在する限り法律上の罪悪をも映し出すので、こうなると現代の証拠裁判なぞいうものは甚だ不確なものとなります。指....
映画芸術」より 著者:寺田寅彦
肉眼のままの観客に、広い観覧席のどこにいても同じように立体的に見えるような映画を映し出すということにはかなりな光学的な困難があるのである。しかし、そういう技術上....
庭の追憶」より 著者:寺田寅彦
だ一枚の飛び石の面にだけでも、ほとんど数え切れない喜怒哀楽さまざまの追憶の場面を映し出すことができる。夏休みに帰省している間は毎晩のように座敷の縁側に腰をかけて....
第一回日本アンデパンダン展批評」より 著者:宮本百合子
、芸術家の広い視野と感受性とは、その反対の寛ろぎや、平安や、歓びを芸術の美として映し出すことは当然です。でも、現実会というその会の名をまじめに考えたとき、私は正....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
れも覆面はしておりません。微《かす》かながら提灯の光は、二人の面差《おもざし》を映し出すに充分でありました。 「おお、其許様《そこもとさま》は駒井能登守殿ではご....
私の信条」より 著者:豊島与志雄
い、断崖のぎりぎりの一線に指定されるが、その在りかたの意義を規定するのは、それを映し出す鏡の位置如何による。自分自身のために書く意味合が多いということは、この鏡....
雪霊続記」より 著者:泉鏡花
その時の苦しさ。――今も。 三 白い梢の青い火は、また中空の渦を映し出す――とぐろを巻き、尾を垂れて、海原のそれと同じです。いや、それよりも、峠....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
近く河瀬の音に目が覚めた。仄白い朝の光が天幕の中に吊してある小田原提灯をぼんやり映し出す。昨夜は暑かったので、掛けていた毛布もいつの間にか足もとに丸められてあっ....