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映る
「映る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
映るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「片恋」より 著者:芥川竜之介
ら、わかっているがね。そこでいろいろ聞いて見ると、その恋人なるものは、活動写真に
映る西洋の曾我《そが》の家《や》なんだそうだ。これには、僕も驚いたよ。成程《なる....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
台所へ出て行って見た。
竈《かまど》が幅をとった板の間には、障子《しょうじ》に
映るランプの光が、物静かな薄暗をつくっていた。婆さんはその薄暗の中に、半天《はん....
「妙な話」より 著者:芥川竜之介
革《かわ》にぶら下っていると、すぐ眼の前の硝子《ガラス》窓に、ぼんやり海の景色が
映るのだそうだ。電車はその時|神保町《じんぼうちょう》の通りを走っていたのだから....
「或る女」より 著者:有島武郎
《こおど》りして飛び回った。そして飛び回りながら、髪をほごしにかかって、時々鏡に
映る自分の顔を見やりながら、こらえきれないようにぬすみ笑いをした。
一七
....
「或る女」より 著者:有島武郎
な自分の顔にはただ驚くばかりだった。少し縦に長く見える鏡ではあるけれども、そこに
映る姿はあまりに細っていた。その代わり目は前にも増して大きく鈴を張って、化粧焼け....
「星座」より 著者:有島武郎
ほど飲んだことのない酒はすぐ頭へとひどくこたえだした。眼の中が熱くなって、そこに
映るものが不断とは変ってきた。こんな場合、当然起ってくべきはずの性慾はますます退....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
なのだ。 君の心は妙にしんと底冷えがしたようにとげとげしく澄み切って、君の目に
映る外界の姿は突然全く表情を失ってしまって、固い、冷たい、無慈悲な物の積み重なり....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
ういう珍しいものを見物した大川端の二州楼へ行った。活動写真は今のように大きい幕に
映るのではない。少なくとも画面の大きさはやっと六尺に四尺くらいである。それから写....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
身に対して神のように寛大になる。それは時々私の姿が、母を失った嬰児の如く私の眼に
映るからだ。嬰児は何処をあてどもなく匍匐する。その姿は既に十分|憐れまれるに足る....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
夕顔のほんのり咲いた、肌をそのままかと思う浴衣が、青白い立姿で、蘆戸の蔭へ透いて
映ると、すぐ敷居際に――ここに今見ると同じ、支膝の七分身。紅、緋でない、水紅より....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
はいかがでございます。」 夫人この時は、後毛のはらはらとかかった、江戸紫の襟に
映る、雪のような項を此方に、背向に火桶に凭掛っていたが、軽く振向き、 「ああ、も....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
らの世界ではそのごまかしはきかぬ。すべては皆神の眼に映り、又或る程度お互の眼にも
映る……。で、これからそなたも早速この精神統一の修行にかからねばならぬが、もちろ....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
つある教義が、その根柢に於て、格別|異ったものでもないことが、われ等の眼にはよく
映るのである。 友よ! 宗教なるものは、決して人間が人為的に捏造したような、そ....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
の夜の十二時に近い時分、遠藤は独り婆さんの家の前にたたずみながら、二階の硝子窓に
映る火影を口惜しそうに見つめていました。 「折角御嬢さんの在りかをつきとめながら....
「活人形」より 著者:泉鏡花
。 泰助は旅店に帰りて、晩餐の前に湯に行きつ。湯殿に懸けたる姿見に、ふと我顔の
映るを見れば、頬の三日月|露れいたるにぞ、心潜かに驚かれぬ。ざっと流して座敷に帰....