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「春の夜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

春の夜の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
の音ばかりで、男の姿はどこにもない。娘は暫くあたりを見廻していたが、突然つめたい春の夜風にでも吹かれたように、頬《ほお》をおさえながら、立ちすくんでしまった。戸....
道祖問答」より 著者:芥川竜之介
は几帳《きちょう》の向うに横になっている和泉式部《いずみしきぶ》の寝息であろう。春の夜の曹司《ぞうし》はただしんかんと更け渡って、そのほかには鼠《ねずみ》の啼く....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
、髯《ひげ》の長い一人の老人が天心の月を眺めながら、悠々と腰を下していた。物静な春の夜《よ》は、藪木《やぶき》の花のかすかな※《におい》を柔かく靄《もや》に包ん....
魚河岸」より 著者:芥川竜之介
去年の春の夜《よ》、――と云ってもまだ風の寒い、月の冴《さ》えた夜《よる》の九時ごろ、....
或る女」より 著者:有島武郎
たが、ついには勝手にするがいいといわんばかりに座敷を代えてひとりで寝てしまった。春の夜はただ、事もなくしめやかにふけて行った。遠くから聞こえて来る蛙《かわず》の....
籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
になったのは、この物語の主人公が亡《ほろ》びてから二十年余の後であった。それでも春の夜はやはり賑わしかった。 そのぞめきの群れにまじって、次郎左衛門は仲の町を....
雛がたり」より 著者:泉鏡花
黄昏、桂木、桂木は人も知った朧月夜の事である。 照りもせず、くもりも果てぬ春の夜の…… この辺は些と酔ってるでしょう。....
クララの出家」より 著者:有島武郎
ら静かに部屋を出て行った。 クララの枕はしぼるように涙に濡れていた。 無月の春の夜は次第に更けた。町の諸門をとじる合図の鐘は二時間も前に鳴ったので、コルソに....
深夜の市長」より 著者:海野十三
うにも仕方がない。独りがいい。独りで気儘に動いているのが一番いい。 薄ら寒い早春の夜気が、鉄橋の下のレールの上から吹き上ってきて、ひしひしと背中に浸みだした。....
白蛇の死」より 著者:海野十三
浅草寺の十二時の鐘の音を聞いたのはもう半時前の事、春の夜は闌けて甘く悩しく睡っていた。ただ一つ濃い闇を四角に仕切ってポカッと起きて....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
自分の息子の上にいたわりの眼を離さないのかも知れない。老父が青年の息子と二人で、春の夜、喫茶店に連れ立って来るなどという風景も、気をつけて見れば、しんみりした眺....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
吉が十七の年紀の生命の親である。―― しかも場所は、面前彼処に望む、神田明神の春の夜の境内であった。 「ああ……もう一呼吸で、剃刀で、……」 と、今|視めて....
北斗帖」より 著者:違星北斗
り 俳句 浮氷鴎が乗って流れけり 春めいて何やら嬉し山の里 大漁の旗そのまゝに春の夜 春浅き鰊の浦や雪五尺 鰊舟の囲ほぐしや春浅し 尺八で追分吹くや夏の月 夏....
雪柳」より 著者:泉鏡花
来の旅人に袖をあげさせ、手を翳させたものだった、が、今はない。…… 浮浪の徒の春の夜の焚火に焼けて、夜もすがら炬火を漲らせ、あくる日二時頃まで煙を揚げたのを、....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
り。 看昨、客庭秋已酣。 (花見の時節に故国を去り、五月には豪州の南部に至った。春の夜の夢は昨日のように思いおこされるが、いま旅宿の庭は秋もたけなわである。) ....