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「春光〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

春光の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
片信」より 著者:有島武郎
ような自然さをもって僕のしようとするところを肯《がえ》んじている。全く僕は蟄虫が春光に遇っておもむろに眼を開くような悦《よろこ》ばしい気持ちでいることができる。....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
嘔吐を催す様な感じがした、決して我が心に馴染まなんだ、今度は全く之に反し、一道の春光が暖かに心中に溶け入って、意外の為に全身が浮き上る様に思った、極めて身に馴染....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
つしか二つがいになった、時々緑の短冊に腹を擦って飛ぶは何のためか。心|長閑にこの春光に向かわば、詩人ならざるもしばらく世俗の紛紜を忘れうべきを、春愁堪え難き身の....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
り褪せていますが、確に元は赤色だったのですよ」 聞いているうちに石子の暗い心は春光に浴した蕾のように次第にほぐれて来た。彼の顔には押えても押え切れない喜びの微....
柿の種」より 著者:寺田寅彦
公だけは、相変わらずそんなことには無関心のように堂々とのどかなあくびをして二月の春光をいっぱいに吸い込んでいるのであった。 人間はまったくおせっかいである。(....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
くべきもので、全体が安価な喫茶と酒場に塗り潰されていた。透かして視ると、その垠に春光館と白く染めぬいた赤い旗が、目についたので、庸三はどうせ無駄だとは思ったが行....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
頼んで居た北見の農場に帰る男が、客と碁をうって居る。按摩の笛が大道を流して通る。春光台 明治三十六年の夏、余は旭川まで一夜泊の飛脚旅行に来た。其時の旭川は、....
新釈諸国噺」より 著者:太宰治
酒を飲み、町内は明るく浮き浮きして、ことし十に六つ七つ余り、骨細く振袖も重げに、春光ほのかに身辺をつつみ、生みの母親もわが娘に話かけて、ふと口を噤んで見とれ、名....
地上」より 著者:島田清次郎
へはいっている小学校卒業生の談話会が小学校の唱歌室で開かれたことがある。黄金色の春光の射し入る窓際にポプラの平たい葉が早春の微風に揺らいでいた。五、六十人の少年....
少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
自由をうばわれていた少年連盟である。幼年組も年長組も一団となって洞穴をぬけだし、春光まばゆい広場で思う存分にはねまわった。 ワッという笑い声が広場の一角にわい....
豆腐買い」より 著者:岡本かの子
遣り過すときに掌で電車の腹を撫でる。撫でられた電車の腹はそこだけ埃を擦り除られた春光にピカピカ映るワニスの光沢を明瞭に一筋のこしてガタンガタン交叉点の進メの信号....
帝展の美人画」より 著者:上村松園
きだと思います。大きく伸ばしたのでいろんなものが見えたのかも知れません。 和気春光さんの「華燭の宵」は怖い顔の花嫁さんやと思いました。 木谷千種さんの「祇園....
漱石氏と私」より 著者:高浜虚子
体云々のことは既に前文に書いた通り、漱石氏と道後の温泉に入浴してその帰り道などに春光に蒸されながら二人で神仙体の俳句を作ったのであった。それから次ぎに宮島にて紅....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
に村路数マイルを歩して、牧場を一望して帰舎す。往復里程二十三マイルなり。この日、春光駘蕩の趣あり。 藉。 (草をしいて春の郊外で座禅をするごとくすわり、舞埃城の....
和製椿姫」より 著者:大倉燁子
まった上、十人近い家族を抱えての居食いだから、並大抵のことではあるまい。 東山春光の父と私の父親が親しかった関係から、私は彼と友達だった。彼は高等学校時代から....