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春初
「春初〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
春初の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
れながら来た。かの女等はそれを避けて畑道へそれた。畑地には、ここらから搬出する晩
春初夏の菜果が充ちていた。都会人のまちまちな嗜好を反映するように、これ等の畑地の....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
当に賑やかいと思っていたのであるが――人通りもまた少なかった。 それが年末から
春初にかけては、俄かに景気づいて繁昌する。平日がさびしいだけに、その繁昌がひどく....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
以前の出来事のようだ。そうかと思うとつい最近、二三日以前の出来事のようだ。……晩
春初夏、藤の花の盛り、それは四月のある日だった。鎧橋通りの屋敷を出て、海岸の方へ....
「新世帯」より 著者:徳田秋声
「サア、ここは悒鬱しくていけません。お作や、奥へお連れ申して……何はなくとも、
春初めだから、お酒を一口……。」 「イヤ、そうもしていられません。」と新吉は頭を....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
ぶら提げながら、例の足駄でぽッくり/\刻足に翁が歩いて来る。此時も明治四十一年の
春初めて来た時着て居た彼|無地の木綿羽織だった。「乗れませんでしたか」「満員だっ....
「「自然」」より 著者:豊島与志雄
自然の風趣に富む。 庭先に椎の古木がある。この常緑樹は、他の落葉樹と異って、晩
春初夏の頃、盛んに古葉を散らし、余剰の花を降らせる。風の日には、朝夕、狭い庭のあ....
「ジャングル頭」より 著者:豊島与志雄
主義。毒気ばかりが立ちこめて、清純な花の咲く余地はあるまい。 例えて言おう。晩
春初夏の後楽園野球場には、しばしば、可憐な紋白蝶が一匹或るいは二匹、ひらひらと飛....
「鐘ヶ淵」より 著者:岡本綺堂
ることになっている。このときの御成も単に遊覧のためで、隅田のながれを前にして、晩
春初夏の風景を賞でるだけのことであったらしい。 旧暦の四月末といえば、晩春より....
「稚子法師」より 著者:国枝史郎
一巻である。 木曽川や藤咲く下を行く筏 卯の花を雪と見て来よ木曽の旅 季節は晩
春初夏であった。老鶯も啼いていた。筏を見ては流転が思われ、旅と感じて行路難が犇々....
「銀三十枚」より 著者:国枝史郎
えないだろう。こう思われたからであった。 間もなく春が訪れて来た。 やがて晩
春初夏となった。 彼女に目つかる心配はなかった。自由に散歩をすることが出来た。....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
の火が、点々とこちらへ近寄って来た。
こういう事件の起こったのは、明和六年の晩
春初夏の、ようやく初夜へはいったころのことで、所は下谷の車坂から、根岸の里へ下り....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
。 予科は一年しかない。翌年はもう舞台にでる。「虞美人」では兵隊さんの多くが今
春初舞台の少女たちだそうだ。使い方が巧みだから、ヘタが目立つような稚拙な構成は見....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
た。 右手の岸には巍峨《ぎが》たる氷山が聳えている。左は駘蕩《たいとう》たる晩
春初夏の景色、冷い風と生暖い温気とがこもごも河づらを撫でる。川の水も真ん中で二つ....
「贋物」より 著者:葛西善蔵
石炭を積んだ長い貨車の後に客車を二つ列ねて、とことこと引張って行った。耕吉はこの
春初めてこの汽車に乗った当時の気持を考え浮べなどしていたが、ふと、「俺はこの先き....
「軽井沢にて」より 著者:正宗白鳥
北の高地、カシミールくらいの所へは私だって行けないことはあるまい。私は、今年、晩
春初夏の頃、四国九州の名所古蹟を幾つか見て廻ったが、子供の時から幾十年も見馴れて....