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春宵
「春宵〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
春宵の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「道祖問答」より 著者:芥川竜之介
》として来たのでは、勿論ない。ただこの好女《こうじょ》の数の多い情人の一人として
春宵《しゅんしょう》のつれづれを慰めるために忍んで来た。――それが、まだ一番鶏《....
「草枕」より 著者:夏目漱石
だれ》に聞かしても饒《ゆたか》に詩趣を帯びている。――孤村《こそん》の温泉、――
春宵《しゅんしょう》の花影《かえい》、――月前《げつぜん》の低誦《ていしょう》、....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
の令嬢阿倍川の富子さえ寒月君に恋慕したと云う噂《うわさ》である。それだから千金の
春宵《しゅんしょう》を心も空に満天下の雌猫雄猫《めねこおねこ》が狂い廻るのを煩悩....
「蒸発皿」より 著者:寺田寅彦
宇宙線に影響されないとは保証できないような気がする。 以上は言わばたわいもない
春宵の空想に過ぎないのであるが、しかし、ともかくもわれわれが金城鉄壁と頼みにして....
「詩の原理」より 著者:萩原朔太郎
て、いずこか傷心深くないものがあるだろうか。支那《しな》の詩人は悩ましげにも、「
春宵《しゅんしょう》一刻価千金」と歎息《たんそく》している。そは快楽への非力な冒....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
……とネ
途切れ途切れに伝わってくる豆太郎の唄ごえがパッタリとやむと暗く濃い
春宵のしじまのなかで、老士と弥生は、ほのかに顔を見合ってほほえんだ。
思い出し....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
声が遠くにきこえたりして。こんなしずかで、しずかさに誘われて心が動くようなのこそ
春宵の風情でしょう。モスク※で五月、俄《にわか》に樹々が新緑につつまれて夜気の中....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
みると、夜に向ってしっとりしている大きいガラスの面やテーブルの上の花が、いかにも
春宵という風情です。そういう空気を何とも云えずよろこばしいと感じながらこれをかき....
「大正女流俳句の近代的特色」より 著者:杉田久女
ルタ切れどよき占も出ず春の宵 より江 呪ふ人はすきな人なり紅芙蓉 かな女
春宵美しいびろど張の椅子に一人の女が、カルタの札を白い指で弄びつつ人待顔に、ひと....
「魔像」より 著者:林不忘
ぶところのない丹ちゃんである。服装《なり》だって見上げたもので、まだ薄ら寒いこの
春宵《しゅんしょう》に、よごれ切った藍微塵《あいみじん》の浴衣《ゆかた》一まい、....
「遠藤(岩野)清子」より 著者:長谷川時雨
ときこえるともいうようになっていた。 君帰り物語りすと見しは夢、ふとうたたねの
春宵《しゅんしょう》の夢 君住むは西方《せいほう》百里|飛鳥《とぶとり》の、翼う....
「つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
しぶき》に白じらと光っている。 渡れば広小路。 番所を右に、風流柳橋の紅燈。
春宵《しゅんしょう》一刻|価《あたい》千金、ここばかりは時を得《え》顔《がお》の....
「画筆に生きる五十年」より 著者:上村松園
京三越展出品「夕べ」五葉会展第一回出品「春苑」東京高島屋展出品 同 十一年 「
春宵」春虹会展出品「時雨」五葉会展出品「序の舞」文部省美術展覧会出品「秋の粧」京....
「郷愁の詩人 与謝蕪村」より 著者:萩原朔太郎
の俳句があるのみである。 女|倶《ぐ》して内裏《だいり》拝まん朧月《おぼろづき》
春宵の悩ましく、艶《なまめ》かしい朧月夜の情感が、主観の心象においてよく表現され....
「寄席行灯」より 著者:正岡容
ておくこととした。 口上 昔を今に百目|蝋燭《ろうそく》、芯切る高座の
春宵風景、足らわぬながら再現したく、時代|不知《しらず》とお叱りを、覚悟の上で催....