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春風
「春風〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
春風の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
やかた》の中へはどこからともなく、今までにない長閑《のどか》な景色《けしき》が、
春風《しゅんぷう》のように吹きこんで参りました。歌合《うたあわ》せ、花合せ、ある....
「葱」より 著者:芥川竜之介
た後《のち》も、ついにお君さんには気がつかなかったらしい。すると窓から流れこんだ
春風《はるかぜ》が、その一枚のレタア・ペエパアを飜《ひるがえ》して、鬱金木綿《う....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
は、こう云う解剖的《かいぼうてき》な考えは、少しもはいって来なかった。彼はただ、
春風《しゅんぷう》の底に一脈の氷冷《ひれい》の気を感じて、何となく不愉快になった....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
ないのと同じことですよ」
それから一月《ひとつき》ばかりの後《のち》、そろそろ
春風《しゅんぷう》が動きだしたのを潮《しお》に、私は独り南方へ、旅をすることにな....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
る。――
当日は烈《はげ》しい黄塵《こうじん》だった。黄塵とは蒙古《もうこ》の
春風《しゅんぷう》の北京《ペキン》へ運んで来る砂埃《すなほこ》りである。「順天時....
「運」より 著者:芥川竜之介
瓶子《へいし》でも、皆|赭《あか》ちゃけた土器《かわらけ》の肌《はだ》をのどかな
春風に吹かせながら、百年も昔からそうしていたように、ひっそりかんと静まっている。....
「雛がたり」より 著者:泉鏡花
籠の窓が開いて、軒、廂の雪がこいが除れると、北風に轟々と鳴通した荒海の浪の響も、
春風の音にかわって、梅、桜、椿、山吹、桃も李も一斉に開いて、女たちの眉、唇、裾八....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
て派手に鮮麗な中に、扱帯の結んだ端、羽織の裏、褄はずれ、目立たないで、ちらちらと
春風にちらめく処々に薄りと蔭がさす、何か、もの思か、悩が身にありそうな、ぱっと咲....
「幸福のうわおいぐつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
。乗組はみんなどこかへいっていて、からすが一羽のこってかあかあないていた。やがて
春風がそよそよ吹きそめると、なにかが生き生きして来た。にぎやかな歌とさけび声のな....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
じめた。世に人にたすけのない時、源氏も平家も、取縋るのは神仏である。 世間は、
春風に大きく暖く吹かるる中を、一人陰になって霜げながら、貧しい場末の町端から、山....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
かったり、白い肌が濡れた羽衣に包まれたようになって、紅の閨の寝息が、すやすやと、
春風の小枕に小波を寄せている。私はただ屏風の巌に、一介の栄螺のごとく、孤影|煢然....
「山吹」より 著者:泉鏡花
ん、痛みはしないかい。 人形使 何の貴女様、この疼痛は、酔った顔をそよりそよりと
春風に吹かれますも、観音様に柳の枝から甘露を含めて頂きますも、同じ嬉しさでござり....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
ら、どぎまぎして、 「酒、酒です。」 と筒抜けのぼやけ声。しかも当人時ならず、
春風|胎蕩として、今日|九重ににおい来る、菊や、菊や――酒の銘。 お夏は驚いて....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
?」 お逢い遊ばせばわかる事、お手間は取らせませぬ、と手がのびて袂を曳かれると
春風今を駘蕩に、蕨、独活の香に酔ったほど、馬は、うかうかと歩行き出したが、横畷少....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
僅かなる、雁の帰り行く。天路を聞けばなつかしや、千鳥|鴎の沖つ波、行くか帰るか、
春風の―― そのあたりからは、見物の声が章句も聞こえて、中には目金の上へ謡本を....