春風駘蕩[語句情報] » 春風駘蕩

「春風駘蕩〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

春風駘蕩の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
パンドラの匣」より 著者:太宰治
げて来たような按配でもあったのだ。「桜の間」は、越後獅子の人徳のおかげか、まあ、春風駘蕩の部屋である。こんどの回覧板も、これはひどい、とまず、かっぽれが不承知を....
旅愁」より 著者:横光利一
それほど威張れることを、無断でしたのか。」 「僕は婦人に対してだけは、むかしから春風駘蕩派だからな。何をしたか君なんか知るものか。」 いくらか葡萄酒の廻りもあ....
新釈諸国噺」より 著者:太宰治
て来ようと思うよ。」とんでもない「それについて」である。 「あいあい、」と女房は春風駘蕩たる面持で、「一年でも二年でも、ゆっくり御養生しておいでなさい。まだお若....
長崎の一瞥」より 著者:宮本百合子
心持よい布袋を私は初めて見た。布袋というものに人格化された福々しさが、厭味なく、春風駘蕩と表現されて居る。云うに云われぬ楽しさ面白さ、という表情を以て無邪気極り....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ういうところへ、今時、こういう人間を放ち出すのが、よいことでしょうか。ただ、時が春風駘蕩《しゅんぷうたいとう》の時ではないが、ところはたしかに桜の馬場。 それ....
魔像」より 著者:林不忘
を、お絃は、食べてしまいたそうに、うっとり見惚《みと》れていようという、まことに春風駘蕩《しゅんぷうたいとう》たるシインだ。 が、お絃はちょっとしんみりして、....
勝負師」より 著者:織田作之助
しいとこだっせ。あんたも間違えんようしっかり考えなはれや」と相手をいたわるような春風駘蕩の口を利いたりした。 けれども、対局場の隣の部屋で聴いていると、両人の....
人間山中貞雄」より 著者:伊丹万作
好漢もいない。私の見た山中の人間のよさや味はその作品とは何の関係もない。私はあの春風駘蕩たる彼の貴重な顔を眺めながら神経質な彼の作品を思い出したことは一度もない....
上野」より 著者:永井荷風
の光景を叙しては、「若シ夫レ盛花爛漫ノ候ニハ則全山弥望スレバ恰是一団ノ紅雲ナリ。春風駘蕩、芳花繽紛トシテ紅靄崖ヲ擁シ、観音ノ台ハ正ニ雲外ニ懸ル。彩霞波ヲ掩ヒ不忍....
徹底的な浜尾君」より 著者:甲賀三郎
た嫌いは若干浜尾君にもあったようである。だから浜尾君をよく知らないものは、彼から春風駘蕩たるものを感ずるよりは、秋霜烈々たるものを感ずる事が多かったらしい。私が....
文芸評論の方法について」より 著者:戸坂潤
にも拘らず一向に方法というような心棒のシステムを感じさせないのが、彼の謂う処の「春風駘蕩」派たる所以だろう。 だが之は文芸現象を理性によって割り切れないという....