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「昼餉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

昼餉の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
カインの末裔」より 著者:有島武郎
手が何とかいうのを振向きもせずに店を出た。雨は小休《おやみ》なく降り続けていた。昼餉《ひるげ》の煙が重く地面の上を這《は》っていた。 彼れはむしゃくしゃしなが....
悟浄歎異」より 著者:中島敦
昼餉《ひるげ》ののち、師父《しふ》が道ばたの松の樹の下でしばらく憩《いこ》うてお....
突貫紀行」より 著者:幸田露伴
連ねたるは、いかなる心か知らねど立派なり。戸数は九百ばかりなり。とある家に入りて昼餉《ひるげ》たべけるに羹《あつもの》の内に蕈《きのこ》あり。椎茸《しいたけ》に....
死のなかの風景」より 著者:原民喜
義姉がいた。彼はひとり隣室に入って、煙草を吸った。障子一重隔てて、台所では義母が昼餉《ひるげ》の仕度《したく》をしていた。(そうだったのか、これからもやはり食事....
廃墟から」より 著者:原民喜
あれも子供達に食べさせたいばっかしに、自分は弁当を持って行かず、雑炊食堂を歩いて昼餉《ひるげ》をすませていたのです」と泣いた。義兄は次の間に白布で被《おお》われ....
永遠のみどり」より 著者:原民喜
すように感覚を脅《おびや》かしていた異臭をまた想い出すのだった。 妹のところで昼餉をすますと、彼は電車で楽楽園《らくらくえん》駅まで行き、そこから八幡村の方へ....
笑われた子」より 著者:横光利一
後の話のついでに吉の職業を選び合った。が、話は一向にまとまらなかった。 或日、昼餉を終えると親は顎を撫でながら剃刀を取り出した。吉は湯を呑んでいた。 「誰だ、....
病房にたわむ花」より 著者:岡本かの子
生等の上を歩むもの、すべて老若の男女を合せて十人近い患者の群が、今しも、病房から昼餉ののちの暫時を茲へ遊歩に解放されて居るのだと分りました。桜花が、しっきりなし....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
手に行くことになったが、我々の同僚四人は連れ立つことにして、いずれも歩行で枚方に昼餉をしたため、それから伏見へ着き、なおその足で京都まで行った。この里程は十三里....
空家」より 著者:宮崎湖処子
はあまりの暑さに窓をあけて外面を眺めぬ、日はあたかも家の真上にありて畑の人は皆|昼餉《ひるげ》に急げり、と見れば向うの路より一個の旅人、大いなる布の包みを負いて....
知々夫紀行」より 著者:幸田露伴
高き高砂石といえるは、荒川のここの村に添いて流るるあたりの岸にありと聞きたれば、昼餉食べにとて立寄りたる家の老媼をとらえて問い質すに、この村今は赤痢にかかるもの....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
が欲しいものですから」とぐずぐずいって居りました。 その日はネータンという所で昼餉を済まし、それより二里半ばかり行きますとナムという村があります。私がラサ府に....
車上の春光」より 著者:正岡子規
に出て驚かしてやるつもりなのだ。格堂はさきへ往て左千夫の外出を止める役になった。昼餉《ひるげ》を食うて出よとすると偶然|秀真《ほつま》が来たから、これをもそその....
つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
は現代日本の学生の及ばぬところかも知れない。 丁度食事の頃だったので、マダムは昼餉《ひるげ》のテーブルに鶴子を案内して、亡夫の遺著を編輯《へんしゅう》するにつ....
日本の伝説」より 著者:柳田国男
ります。これは子の聖という有名な上人が、初めてこの山に登った時に、ここで休んで、昼餉に用いた杉箸を地にさして行ったと伝えております。こういうふうに人はいろいろに....