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時の物
「時の物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
時の物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
て、とがめることのできないような罪をきせられている。わが国の昔の文人は――その当
時の物知りであった――まあこんなことを言っている。諸君には着物のどこか見えないと....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
彼の妻の訴えるような顔、さては証拠蒐集の為に三年前に埋葬された被害死体を発掘した
時の物凄い場面などが、それからそれへと浮んで来た。 それから二、三日経った或る....
「パンドラの匣」より 著者:太宰治
がこんな運動をするのは、とんでもない危険な事とされていたらしいが、これもまた、戦
時の物資不足から生まれた新療法の一つであろう。当道場では、たしかに、この運動を熱....
「ある女の生涯」より 著者:島崎藤村
曽川の岸の岩石の間に時を送りに行って来ることもあった。夏らしい日あたりや、影や、
時の物の茄子でも漬けて在院中の慰みとするに好いような沢山な円い小石がその川岸にあ....
「病院風景」より 著者:寺田寅彦
の警戒か分からぬ。しかし何かを警戒していることは分かる。 H首相が入院していた
時の物々しい警戒を思い出す。悪いことをしないものは恐ろしくて通れなかった。 昔....
「科学上における権威の価値と弊害」より 著者:寺田寅彦
弱点にふれる事を見るのである。 エネルギー保存説の開祖ロベルト・マイヤーは、当
時の物理の世界から見ればむしろ旋毛曲りの頑固な田舎親爺であったに相違無い。(大正四年頃)....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
ちがいない。そんな新奇な装飾品が当時流行しかけていた。父の負けじ魂の性癖から、一
時の物として、つい奮発することになったのだろう。果してこの異国の花卉を浮織にした....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
天神前に、旭玉山という牙彫家がいて弟子の五人十人も持ち、なかなか盛んであった。当
時の物価の安い時分でも、一日の手間三円五十銭を得た位、師匠の作はもとより弟子たち....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
なってもらいました。 この人々は官民間で夙に美術界のことに尽力していた人で、当
時の物識りであり、先覚者でもあったのであります。 ここで私もこの人たちの集まり....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
れ男どもが跳梁跋扈したのである。しかし、それからもういく年か過ぎ、この時分には当
時の物語をする人もちょっとした都合のよいつくりごとで話に色をつけ、記憶もはっきり....
「『七面鳥』と『忘れ褌』」より 著者:佐藤垢石
はおっさんにみんなやる。』 『はい、どうも――』 爺さんは、低く頭を下げた。当
時の物価では、これだけの買物についてくる二朱金の剰銭は莫大である。 五....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
ばならない。これが始末が悪いので閉口しました。 それから、今日思い出しても、当
時の物の安かったことが分りますが、奈良では対山楼といえば一流の旅館ですが、其所に....
「法隆寺再建非再建論の回顧」より 著者:喜田貞吉
築様式が、果して所謂飛鳥式であると仮定したところで、それが必ずしも実年代上その当
時の物でなければならぬという理由は薄弱である。何となれば、たとえそこに新様式の芸....
「港の妖婦」より 著者:田中貢太郎
を逃げるように歩いて往った。 何時の間にか電燈が点いていた。謙作は洋食屋を出る
時の物に追われているような気もちは改まって、ゆっくりした足どりになって微暗い黄昏....
「建国の事情と万世一系の思想」より 著者:津田左右吉
邪霊悪神を掃蕩せられたことはいわれているが、武力の用いられた話は、初めて作られた
時の物語にはなかったようであり、後になってつけ加えられたと思われるイズモ平定の話....