時の調子[語句情報] » 時の調子

「時の調子〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

時の調子の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
あらくれ」より 著者:徳田秋声
う気にもなれないらしかった。 「そんな事を言わずにまあ辛抱するさ」 お島はその時の調子で、どうかすると心にもない自分の身《み》の上《うえ》談《ばなし》がはずん....
旧主人」より 著者:島崎藤村
お前の調子が責めてるじゃないか」 「調子は私の持前です」 「お前が御父さんに言う時の調子と、今のとは違うように聞えるぜ」 「誰が親と奉公人と一緒にして物を言うよ....
」より 著者:島崎藤村
お前の調子が責めてるじゃないか」 「調子は私の持前です」 「お前が父親さんに言う時の調子と、今のとは違うように聞えるぜ」 「誰が親と奉公人と一緒にして、物を言う....
かすかな声」より 著者:太宰治
ます。」 「きょうは、少し調子づいているようですね。」 「そうです。芸術は、その時の調子で出来ます。」....
」より 著者:徳田秋声
らか落ち着いてもいたし、媚かしさも見えた。そして遠慮なく膝を崩すような客に対する時の調子も、笹村が気遣ったほどには粗雑でもなかった。 笹村が一週間ばかり、いろ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
でございますか」 「それそれ、どうかあれをひとつ聞かしてもらいたい」 「ああいう時の調子では音頭取《おんどとり》も致しますけれど、改まってどうしてお聞かせ申すこ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ずいたところを見ると、村田も以前から、仏頂寺の名を聞き知っていたのかしら。或いは時の調子で、お座なりにバツを合わせたのかしら。そこで兵馬も漫然と、 「あとで御紹....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ら百合、除虫菊《のみとりぎく》がいいから除虫菊――いいものに移るのはいいが、その時の調子で、眼先の景気だけに取られるのはよくない」 「そうですね、いま、割が悪い....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
茂太郎は、「七兵衛おやじが、走るわ、走るわ」とわめき立てたことがありました。その時の調子と、今日のしょげ方とを比べて見ると、それではあの時のは、檣《ほばしら》の....
ある女の生涯」より 著者:島崎藤村
たお新の前へも持って行った。 「へえ、姉さんにも御褒美」 こうおげんが娘に言う時の調子には、まだほんの子供にでも言うような母親らしさがあった。 「蛙がよく鳴く....
反抗」より 著者:豊島与志雄
然しお清《きよ》はなかなかやって来なかった。周平は苛ら苛らしてきた。約束をした時の調子が調子だったので、或は来ないのかとも考えられた。彼は橋の西側を三四度往き....
」より 著者:豊島与志雄
一杯やる」ことになったまでである。そして友人同士の「一杯やる」ということは、その時の調子で、無限の延長をもつ。 この場合のその延長を辿るにほ、先ず、村尾の饒舌....
常識」より 著者:豊島与志雄
も親切気を以てなので、私は答える言葉がなかった。ごくつまらない平凡な言葉で、其の時の調子によっては、ぐさと人の胸をつき刺すようなものがある。 なんでこの男に分....
木曽の旅人」より 著者:岡本綺堂
早く頂かない。馬鹿な奴だ。」 「いや、そうお叱りなさるな。小児というものは、その時の調子でひょいと拗れることがあるもんですよ。まあ、あとで食べさせたらいいでしょ....
正に芸術の試煉期」より 著者:小川未明
ふくまれていないものはないとも言えるだろう。それ程、文筆に従事する者は、常にその時の調子一つで、その何れにもあり得るのだ。世間に妥協するも究極は功利に終始するも....