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「時世〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

時世の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
り聞いてくれ。俺も五十二になる。昔なら殿様に隠居を願いでて楽にくつろぐ時分だが、時世とはいい条《じょう》……また、清逸の奴がどういうつもりなのか、あの年になって....
雛妓」より 著者:岡本かの子
こう見して、ときどきは、その美しさに四辺を忘れ、青畳ごと、雛妓とわたくしはいつの時世いずくの果とも知らず、たった二人きりで揺蕩と漂い歩く気持をさせられていた。 ....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
とに武張った屋敷でした。 「武家に奉公するものは武芸を怠ってはならぬ。まして今の時世であるから、なんどき何事が起らないとも限らぬ。男も女もその用心を忘れまいぞ。....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
嵌めた、あまつさえ、風に取られまいための留紐を、ぶらりと皺びた頬へ下げた工合が、時世なれば、道中、笠も載せられず、と断念めた風に見える。年配六十二三の、気ばかり....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
さんだね。」 「ええ、ですから、ですから、おじさん、そのお慰めかたがた……今では時世がかわりました。供養のために、初路さんの手技を称め賛えようと、それで、「糸塚....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
偸盗、邪淫、殺傷の記事を読む方々に、こんな事は、話どころか、夢だとも思われまい。時世は移った。…… ところで、天保銭吉原の飛行より、時代はずっと新しい。――こ....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
|開眼が済んでから、杖を突張って参らしゃます心じゃろが、お互に年紀じゃぞや。今の時世に、またとない結縁じゃに因って、半日も早うのう、その難有い人のお姿拝もうと思....
亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
だ暗いというような時代になって、ランプさえもよほどの山間僻地でも全く見られない、時世の飛躍的な推移は驚愕の外はない。瓦斯の入来したのは明治十三、四年の頃で、当時....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
の饗宴をそのままの乱行が再びそこに繰り返されたのです。ああ、われわれはなんという時世に生まれ合わせたのでしょう。言葉は何を言っているのか分からないような黒ん坊の....
「吶喊」原序」より 著者:井上紅梅
、時にまた、人をして寂寞たらしむるを免れないもので、精神の縷糸が已に逝ける淋しき時世になお引かれているのはどういうわけか。わたしはまるきり忘れることの出来ないの....
バットクラス」より 著者:岡本かの子
するが、その他の一切に関しては御交渉を絶ち度いという申出でだ。 もっと既にこの時世界の不況は大英の財界にも押し寄せて来て、彼の顧問会社の脈搏不整はこの偉れた財....
明治哲学界の回顧」より 著者:井上哲次郎
法律制度のごとき諸種の規定を要する次第で、その法律制度の改正というようなことは、時世境遇の変化とともに必要となるが、その原理は法律制度そのものの中において求むべ....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
響かないくらい、それは静なものでした。それで、これが温泉宿……いや鉱泉宿です。一時世の中がラジウムばやりだった頃、憑ものがしたように賑ったのだそうですが、汽車に....
雪柳」より 著者:泉鏡花
けさまに、駆通る。 解った。いやしくも大東京市内においては、橋の上で煙草を喫む時世ではないのである、と云うのも、年を取ると、口惜いが愚痴に聞える。 ふけた事....
押しかけ女房」より 著者:伊藤永之介
俵」 眼をまわしたが、直ぐに気をとり直した。 「十俵とは大したもんだなあ、が、時世時節で仕様がない、俺はもう一俵つけて、十一俵呉れるから、是非とも俺の方に頼む....