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時偶
「時偶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
時偶の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
しい。気候もまず温和である。……」
オルガンティノは吐息《といき》をした。この
時偶然彼の眼は、点々と木かげの苔《こけ》に落ちた、仄白《ほのじろ》い桜の花を捉《....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
モンスーンの影響をうける季節のこの連嶺の密雲はすさまじい。しかし、その季節以外は
時偶《ときたま》霽《は》れて、Rim-bo-ch'e《リム・ボー・チェ》(紅蓮峰....
「失楽園殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
人は精神激動のためか、殆んど言語を洩らさず、凡てが憂欝狂の徴候を示せり。されど、
時偶発する言葉により、同人が小机在の僧侶の妻にして、夫の嫉妬のために左眼を傷つけ....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
けた感覚に内問している。そういうように、意識が異様に分裂したような状態――それは
時偶、ある種の変質者には現われるものですからね」と法水は、伸子の肯定を期待するよ....
「思想と風俗」より 著者:戸坂潤
でもなく日本ではそれまでなかったし、今後も恐らくなかろうと思われる。 私はある
時偶然、武田麟太郎が自分の「大学生」振りを語った小品を読んで、非常に面白く思った....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
にはぐれないように互に肩をくっつけ合い、蓋を傾け合って、ひそひそ声で話している。
時偶庭木の葉を洩れて、日光がちらちらと零れかかると、菌たちはとんでもない邪魔もの....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
でいたものだった、今聞いて見ると何んでも変な奴だと思っていたそうだが、それがある
時偶然話し合って見たら、お互にそれは同じ理想を持っていた事が知れた、やはりこれも....
「絶景万国博覧会」より 著者:小栗虫太郎
子を永い間の寂寥から救う事になった。と云うのは、十歳の折乳母に死に別れてからは、
時偶この寮に送られて来る娘はあっても、少し経つと店に突き出されて、仙州、誰袖、東....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
―しかし、他人の夢にはおかまいなさらず、御自分の悪夢の方を、おっしゃって下さい。
時偶は、トリエステの血のような夢を御覧になるでしょうな」 と法水は、異様なもの....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ー患者の、実験報告にも現われている事だけれど……、周囲の神経が痲痺してしまうと、
時偶その遮断されている神経のみが、他の筋肉からの振動をうけ、実に不思議千万な動作....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
た袋で間に合わしていた。何でも個性を発揮しなければ気が済まないのが椿岳の性分で、
時偶市中の出来合を買って来ても必ず何かしら椿岳流の加工をしたもんだ。 なお更住....
「斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
岐殿坂へ移って、紳士風が抜けて書生風となってからもやはり相当に見識を取っていて、
時偶は鄙しい事を口にしても決して行う事はなかった。かつ中学へ通う小さい弟(今は医....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
る学費で気随|気儘に暮していた。少とばかり洋書が読めて多少の新らしい趣味を解し、
時偶は洋服を着る当時の新らしい女で、男とばかり交際していた。その頃は今より一層|....
「二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
文壇の噂には余り興味を持たなかった。どうかすると紅葉や露伴や文壇人の噂をする事も
時偶はあったが、舞台の役者を土間や桟敷から見物するような心持でいた。 『浮雲』以....
「早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
書肆を経営した鷲津浩君も、一昨年からそこに江戸屋というおでん屋を開いている。私も
時偶そこへ白鷹を飲みに行くが、そののれんを外にくぐり出ると、真向の路地の入口にわ....