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時宜
「時宜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
時宜の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
でございます」と説明した。それから指を噛《か》んでいた子供に「さあ、坊ちゃん、お
時宜《じぎ》なさい」と声をかけた。男の子は勿論《もちろん》玄鶴がお芳に生ませた文....
「冬」より 著者:芥川竜之介
たいてい》はもういなくなっていた。僕はとうとう控室へはいり、博奕打ちらしい男にお
時宜《じぎ》をした上、僕の場合を相談した。が、彼はにこりともせず、浪花節語《なに....
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
》話を続けるのに熱中していた。
「和田のやつも女の前へ来ると、きっと嬉しそうに御
時宜《おじぎ》をしている。それがまたこう及び腰に、白い木馬に跨《またが》ったまま....
「河童」より 著者:芥川竜之介
ちょうどそこへはいってきたのはこの倶楽部《クラブ》の給仕です。給仕はゲエルにお
時宜《じぎ》をした後《のち》、朗読でもするようにこう言いました。
「お宅のお隣に....
「年末の一日」より 著者:芥川竜之介
束の外に何か親しみの持てないものだった。K君はわざわざ外套を脱ぎ、丁寧にお墓へお
時宜《じぎ》をした。しかし僕はどう考えても、今更|恬然《てんぜん》とK君と一しょ....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
の前に来ると、これがお父さんの御墓だと教えた。が、彼はその前に立って、ちょいと御
時宜《おじぎ》をしただけだった。
「それでもう好いの?」
母は水を手向《たむ》....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
か縁が近いような心もちが致して居りましたよ。」
何も知らない番頭は、しきりに御
時宜《おじぎ》を重ねながら、大喜びで帰りました。
医者は苦い顔をしたまま、その....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
を下げた事です。殊に一度なぞはある家の前に、鶏《とり》を追っていた女の児さえ、御
時宜《おじぎ》をしたではありませんか? わたしは勿論嬉しいと同時に、不思議にも思....
「誘惑」より 著者:芥川竜之介
は樟《くす》の木の下へ来ると、ちょっと立ち止まって帽をとり、誰か見えないものにお
時宜《じぎ》をする。
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前の洞穴の内部。但し今度も外部に面してい....
「三つのなぜ」より 著者:芥川竜之介
た。のみならずその犬は身震いをすると、忽ち一人の騎士に変り、丁寧にファウストにお
時宜をした。―― なぜファウストは悪魔に出会ったか?――それは前に書いた通りで....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
きなされば、可哀相――とは、……それはさ、思召したでござりましょうが、何の義理|
時宜に、お煩いなさって可いものでござります。病みつきましたのは、雪にござった、独....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
に気味が悪くってたまりません。あいつはこの間もどう云う量見か、馬頭観世音の前にお
時宜をしていました」 「気味が悪くなるなんて、……もっと強くならなければ駄目です....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
ありません。老人の言葉がまだ終らない内に、彼は大地に額をつけて、何度も鉄冠子に御
時宜をしました。 「いや、そう御礼などは言って貰うまい。いくらおれの弟子にしたと....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
た。泣いている場合ではないとも思った。彼は若い二人の土工に、取って附けたような御
時宜をすると、どんどん線路伝いに走り出した。 良平は少時無我夢中に線路の側を走....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
拵えたのも何年前の流行であろう。僕等は拝殿の前へ立ち止まり、ちょっと帽をとってお
時宜をした。 「太鼓橋も昔の通りですか?」 「ええ、しかしこんなに小さかったかな....