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時折
「時折〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
時折の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
入れた鞄のほかに何一つない私自身を、春寒く思う事も度々あった。
もっとも午後は
時折来る訪問客に気が紛《まぎ》れて、さほど寂しいとは思わなかった。が、やがて竹の....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
とい唸《うな》りを立てていた。彼れと馬と妻とは前の通りに押黙って歩いた。歩いては
時折り思い出したように立停った。立停ってはまた無意味らしく歩き出した。
四、五....
「姪子」より 著者:伊藤左千夫
よくこんなにいつも花を絶やさずに作ってますねと云うと、あアに家さ作って置かねいと
時折仏様さ上げるのん困るからと云ってる、あとから直ぐこういう鎌が出来ましたが一つ....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
をいつまでも児供のように思うている。僕の母などもその一人に漏れない。民子はその後
時折僕の書室へやってくるけれど、よほど人目を計らって気ぼねを折ってくる様な風で、....
「生きている腸」より 著者:海野十三
こうして、彼が訓練した生ける腸《はらわた》を目の前にして遊んでいながらも、彼は
時折それがまるで夢のような気がするのであった。 前から彼は、一つの飛躍的なセオ....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
なみの店ももう仕舞って寝しずまったらしい。女猫を慕う男猫の思い入ったような啼声が
時折り聞こえる外には、クララの部屋の時計の重子が静かに下りて歯車をきしらせる音ば....
「活動写真」より 著者:淡島寒月
であった。こういう大仕掛な金を掛けたものは、米国でなければ出来ぬフィルムである。
時折|露西亜の写真も来るが、これは風俗として非常に趣味あるものであるが、とかくに....
「狂女」より 著者:秋田滋
ようなことはしなかった。 年老いた下婢がひとり彼女のそばに附いていて、その女が
時折り飲物をのませたり、小さな冷肉の片を口のところまで持っていって食べさせてやっ....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
込んでいたからだ。抽斗の中が手のつけようもないほどとッ散らかっていると思うと私は
時折り厭な気持になることもあった。だが私は、整頓するということを考えただけで、精....
「初雪」より 著者:秋田滋
がて彼女はベンチから起ちあがると、ゆっくりゆっくり自分の家のほうへ帰って行った。
時折り咳が出た。彼女はそのたびに立ち停った。余り晩くまで戸外にいたので、ほんの少....
「寡婦」より 著者:秋田滋
ろに※して、首をうなだれて、淋しそうな足どりで歩いている姿を見かけました。少年は
時折り立ちどまって眼をあげるのでしたが、何かこう、その年頃には相応しくないものを....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
た頃のことだと思われたからである。 その男は、その後も、例の二人の女と一しょに
時折り教会へやって来た。おぼろげながら、遠いむかし、どこかで見たことのある、親し....
「座右第一品」より 著者:上村松園
強々々と自分で自分に鞭打つより外に道はありませぬでした。そうしては博物館に通い、
時折の売立会を見に行きして、これはと思うものを縮図して居りました。それが集まった....
「栖鳳先生を憶う」より 著者:上村松園
絵で、これも大評判でなかなかの力作どした。これもな、直写しさして貰うたのどすが、
時折に古い昔の粉本を出してそれを広げて見てその当時を憶い出します。 栖鳳先生の....
「まあまあ居士の弁」より 著者:浅沼稲次郎
川のアパートにもう二十年も住んでいる。狭い上に訪客も多いので、疲れが休まらない。
時折場所を換えてはと思うこともあるが長い間ひと所にいると、なかなかよそに移る気が....