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時言
「時言〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
時言の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
》に水仕事だ。 因果な婆さんやないかい、と姉がいつでも言ってます。」……とその
時言った。 ――その姉と言うのが、次室《つぎのま》の長火鉢の処《ところ》に来て....
「癩」より 著者:島木健作
いますか」 毎日もう幾回となく、始めて二人が顔を合わせた時のことを想像し、その
時言い出すべき言葉をも繰り返し考えていたのだが、さてその時の今となっては言うべき....
「少女病」より 著者:田山花袋
な家、その総領娘であることをよく知っている。眉の美しい、色の白い頬の豊かな、笑う
時言うに言われぬ表情をその眉と眼との間にあらわす娘だ。 「もうどうしても二十二、....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
分だ。おまえは中身だけの人間で、人を充たすように出来てる。やっと判った」とその当
時言った。 それから十余年の歳月はしずかに流れた。逸作は四十二の厄歳も滞りなく....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
に、父さんが帰って来れば、どうにかなるから、心配せずにおいでよ」 と母親はその
時言った。 父親が帰って来てもだめなことを清三は知っている。 「病気さえしなけ....
「足迹」より 著者:徳田秋声
になったろうえね。」と母親は、夜更けてから、茶の間で衆が鮨を摘んで茶を飲んでいる
時言い出した。 叔父はそこへ臥そべりながら、黙っていた。長いあいだ叔母の体が根....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
したか。」 「あ、いいえ。」と言ったが、すぐまた稚児の事が胸に浮んだ。それなり一
時言葉が途絶える。 森々たる日中の樹林、濃く黒く森に包まれて城の天守は前に聳ゆ....
「雪たたき」より 著者:幸田露伴
の差逼った情に燃えていることと見える。 「…………」 「…………」 双方とも暫
時言葉は無かった。屈託無げにはしているが福々爺の方は法体同様の大きな艶々した前兀....
「湯島の境内」より 著者:泉鏡花
何も鬱ぐ事はない、この二三日、顔を色を怪まれる、屈託はこの事だ。今も言おう、この
時言おう、口へ出そうと思っても、朝、目を覚せば俺より前に、台所でおかかを掻く音、....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
、膝に置かれた手は白し、凝と視られた瞳は濃し…… 思わず情が五体に響いて、その
時言った。 「進藤延一……造兵……技師だ。」 七 「こういう事をお....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
類を仕舞って置くには、家庭用として特に便利である。それはいいが、香港でこれを買う
時言葉が通じないで大いに弱った。確かに「くすのき」製に相違ないかと念を押してやろ....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
」 次郎はぎくりとして、うまく返事ができなかった。大河のにっと笑った顔と、その
時言った言葉とがあらためて思い出されたのだった。かれはしばらく眼をふせていたが、....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
て、思ったのであった。 「君たちは君たちだけの事を思うんだね」 と藤久君がその
時言った。私はもとよりそれは不服であった。だが君の気もちは解った。 君にはもう....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
「どの、お写真。」 と朗に、しっとり聞えた。およそ、妙なるものごしとは、この
時言うべき詞であった。 「は、」 と載せたまま白紙を。 「お持ちなさいまし。」....
「穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
尺に、この偉観に接した自分は、一種の魔力に魅せられてか、覚えずあっとしたまま、暫
時言葉も出なかった。此処が東穂高の絶嶂、天狗岩とでも名づけよう。 八 横....