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時運
「時運〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
時運の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「三四郎」より 著者:夏目漱石
めに専有されべき言葉ではない。我ら新時代の青年は偉大なる心の自由を説かねばならぬ
時運に際会したと信ずる。 我々は古き日本の圧迫に堪《た》ええぬ青年である。同時....
「気狂い機関車」より 著者:大阪圭吉
るかも知れませんが、恰度その時刻には、H機関庫からN駅の操車場へ、作業のために臨
時運転をされた長距離単行機関車がこの線路を通過しております。入換用のタンク機関車....
「ある抗議書」より 著者:菊池寛
察を呪い、またかかる悪徒の横行闊歩して居る世の中が嫌になりました。 ところが、
時運到来と申すのでございましょうか。大正五年の十月でした。犯人|坂下鶴吉は――私....
「運命」より 著者:幸田露伴
にして兵気は善変せるに反し、南軍は再捷すと雖も、兵気は悪変せり。天意とや云わん、
時運とや云わん。燕軍の再敗せること京師に聞えければ、廷臣の中に、燕今は且に北に還....
「破片」より 著者:寺田寅彦
に呉服橋を渡らずに堀ばたに沿うて東京駅東口のほうへぶらりぶらりと運転して行く。臨
時運転だからコースが変わったのかと思っていると、運転手が突然「オーイ、オイ、冗談....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
ので、已むなく習い覚えた柔道の手でナイフを奪いとりざま、相手をつきとばした。その
時運悪くナイフで急所をついた。――というのであった。 が、理由はともかく、光栄....
「社会時評」より 著者:戸坂潤
ないので、外国の近代都市にはいくらでも前例がある筈だから、こうした愚劣な電車を今
時運転しているのは明らかに「市政調査」の好きな市議達の、怠慢だと云わざるを得ない....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
大仕事はできない。いやいや大仕事をする奴は金運というものが向いて来るものなんだ、
時運が盛んで、英気が溢《あふ》れていると、苦心しなくとも金なんぞは向うから集まっ....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
二分に所見を述べようと思う。われ等はわれ等の使命の、神聖なることを信じて疑わぬ。
時運さえ熟せば、天下の民衆は、必ずわれ等の指示に従うに相違ないのであるが、それま....
「梟雄」より 著者:坂口安吾
うなバカであろう。坊主などはもうゴメンだと思った。 乱世であった。力の時代だ。
時運にめぐまれれば一国一城の主となることも天下の権力者となることもあながち夢では....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
通して生徒を馴致しようとする一種のポリシイをも含んだものであったらしい。発会式の
時運動家の連中が幅を利かして演説した。私は何となしにこの会の、その半官半民的の気....
「豊竹呂昇」より 著者:長谷川時雨
の、苦悩から生れた貴い勇気も、直《すぐ》に阻《はば》むような悪いことがつづいた。
時運の来ぬということは仕方のないもので、殊勝な彼女らの旗上げは半年目で火災に逢い....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
・ミゼラブル(惨めなる人々)であり、彼らを作り出した社会の欠陥であり、彼らが漂う
時運の流れであった。そして彼らを描くにあたって、奔放なるおのれの想像と思想とに何....
「濹東綺譚」より 著者:永井荷風
地では大正開拓期の盛時を想起《おもいおこ》させる一隅に在ったのも、わたくしの如き
時運に取り残された身には、何やら深い因縁があったように思われる。其家は大正道路か....
「随筆銭形平次」より 著者:野村胡堂
協力と、地元の物心両方面の熱心なる後援のお蔭ではあったにしても、あの成功は確かに
時運のせいであり、世の期待があの威儀を生んだといっても間違いはないだろうと思う。....