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時鳥
「時鳥〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
時鳥の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
た。その思いもよらない事と申しますのは、もう花橘《はなたちばな》の※《におい》と
時鳥《ほととぎす》の声とが雨もよいの空を想《おも》わせる、ある夜の事でございまし....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
衛門の顔を見ても、口を利《き》かない。いや、ただ一度、小雨《こさめ》のふる日に、
時鳥《ほととぎす》の啼く声を聞いて、「あれは鶯の巣をぬすむそうじゃな。」とつぶや....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
敷は青葉の下に沈んで、初夏の昼は眠ったように静かである。渋谷から青山の空へかけて
時鳥が啼いて通った。 半七は時々うしろを見かえりながら善光寺門前へさしかかると....
「海異記」より 著者:泉鏡花
、弥生の花も見ずに過ぎ、若葉の風のたよりにも艪の声にのみ耳を澄ませば、生憎待たぬ
時鳥。鯨の冬の凄じさは、逆巻き寄する海の牙に、涙に氷る枕を砕いて、泣く児を揺るは....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
れいに分をつけ参らせ候。 そうした手紙を、やがて俊吉が受取ったのは、五重の塔の
時鳥。奥山の青葉頃。…… 雪の森、雪の塀、俊吉は辻へ来た。 五 ....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
奴の日傘で、青葉時に、それ女大名の信長公でさ。鳴かずんば鳴かして見しょう、日中に
時鳥を聞くんだ、という触込みで、天王寺へ練込みましたさ、貴方。 幇間が先へ廻っ....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
袖で、かついだ割箸が、柳にしない、花に咲き、さす手の影は、じきそこの隅田の雲に、
時鳥がないたのである。 それでは、おなじに、吉原を焼出されて、一所に浜町へ落汐....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
軒、十八になる同一年紀の評判娘が両方に居て、負けじと意気張って競争する、声も鶯、
時鳥。 「お休みなさいまし、お懸けなさいまし。」 四十二 その蔵....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
掛けたのは…… ぎゃっ! あれは五位鷺でしょうな。」 「ええ。」 「それとも
時鳥かも知れませんが、ぎゃっ! と啼きます…… 可厭な声で。はじめ、一声、二声....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
の中に、何ともいえぬ美しい鳥の音が聴えます。それは、昔鎌倉の奥山でよくきき慣れた
時鳥の声に幾分似たところもありますが、しかしそれよりはもッと冴えて、賑かで、そし....
「慈悲心鳥」より 著者:岡本綺堂
出したり。ようように巣立ちをしたばかりの雛にて、なんという鳥か判らず。田島さんは
時鳥だろうという。折井君は黙って首をかしげている。ともかくもその雛鳥の死骸とバッ....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
、弁当を使った時、雨を凌いで、簀の子の縁に立掛けた板戸に、(この家の裏で鳴いたり
時鳥。……)と旅人の楽書があるのを見て、つい矢立を取って、(このあたり四方八方時....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
それがために浮身を窶し、茶屋場の由良さんといった形で酔潰れて他愛々々よ。月が出て
時鳥が啼くのを機掛に、蒲鉾小屋を刎上げて、その浴衣で出ようというもんだな、ははは....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
ら風説して、六阿弥陀詣がぞろぞろと式部小路を抜ける位。 月夜烏もそれかと聞く、
時鳥の名に立って、音羽|九町の納涼台は、星を論ずるに遑あらず。関口からそれて飛ぶ....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
、月も少し明ければ途すがら五位鷺の声も一興、と孔雀の尾の机にありなしは知らぬ事、
時鳥といわぬが見つけものの才子が、提灯は借らず、下駄穿きに傘を提げて、五月闇の途....