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晩成
「晩成〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
晩成の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「懶惰の歌留多」より 著者:太宰治
ざれども。絶望。豚に真珠。一朝、事あらば。ことあげせぬ国。ばかばかしくって。大器
晩成。自矜《じきょう》、自愛。のこりものには、福が来る。なんぞ彼等の思い無げなる....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
芸術の傾向を語り、ちょっとした走り書きの旅行便りからも、かの女はむす子がこの稚純
晩成質の母である自分を強くし、人生の如何なる現実にも傷まず生きられるよう、しっか....
「観画談」より 著者:幸田露伴
甚だしい茶目吉一、二人のほかは、無言の同情を寄せるに吝ではなかった。 ところが
晩成先生は、多年の勤苦が酬いられて前途の平坦|光明が望見せらるるようになった気の....
「もの思う葦」より 著者:太宰治
い。鉄は赤く熱しているうちに打つべきである。花は満開のうちに眺むべきである。私は
晩成の芸術というものを否定している。 「太初に言あり。言は神と偕にあり。言は神な....
「一日の労苦」より 著者:太宰治
ぎてしまいまして。 できすぎてしまった。図体が大きすぎて、内々、閉口している。
晩成すべき大器かも知れぬ。一友人から、銅像演技という讃辞を贈られた。恰好の舞台が....
「失敗園」より 著者:太宰治
あ、すこし髪が乱れた。散髪したいな。」 クルミの苗。 「僕は、孤独なんだ。大器
晩成の自信があるんだ。早く毛虫に這いのぼられる程の身分になりたい。どれ、きょうも....
「変った話」より 著者:寺田寅彦
がよく通っていて読んで分かりやすいことだけはたしかである。例えば「大方無隅。大器
晩成。大音希声。大象無形。」というのを「無限に大きな四角には角がない。無限に大き....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
かすほどに上達した利巧者、二人の仲に低能が生れる筈はないから、よほどオクテの大器
晩成塑。むしろ大物が育つのかも知れないなどと先を楽しみにしていたが、いつまでたっ....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
目なので、さすがに少々てれてはいたが、二三日すると、どこで覚えて来たのか、「大器
晩成だよ」などと言って、けろりとしていた。 合格者は、尋六から四名、高一から二....
「魔都」より 著者:久生十蘭
田は座敷の方へ振向くと、ジロリと酒月と眼を見合わせる。
虎の門の交叉点に近い
晩成軒という喫茶店。一と眼で道路を見渡せる窓際の席に掛けている婦人は、ついさっき....
「地上」より 著者:島田清次郎
文字を深井に送ったこともある。「男子が嘗めねばならない不幸と苦しみ」――独立期が
晩成であるために初恋を奪われる苦痛を平一郎は嘗めねばならなかった。堪らないことで....
「イプセン百年祭講演」より 著者:久保栄
な視野のひろさをもたらしたことにもよるのでありましょう。 一体、イプセンは大器
晩成型の作家でありまして、たとえばゲーテは、もし三十で死んだとしても「ゲッツ」と....
「当今の劇壇をこのままに」より 著者:岡本綺堂
なしで固ってしまうだろうし、歌舞伎座幹部連もいずれも年配で、先が見えている、大器
晩成と顧客がいう栄三郎もチト怪しいものである。もっとも今の羽左衛門が家橘といった....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
至り初めて富嶽三十六景図の新機軸を出《いだ》せり。これを以て見るも北斎は全く大器
晩成の人にして、年七十に及んで初めて描く事を知りたりと称せしその述懐は甚だ意味深....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
ない。山中へ行って、弥五郎入道一刀斎先生の分け入った道の後をたずねる心で、なお、
晩成の大悟を期したい。 「これが一つの希望」 と、治郎右衛門忠明は、弟子一同へ....