晩涼[語句情報] » 晩涼

「晩涼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

晩涼の前後の文節・文章を表示しています。該当する7件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
碧色の草花として、つゆ草は粋である。 おぼろ夜 早夕飯のあと、晩涼に草とりして居た彼は、日は暮れる、ブヨは出る、手足を洗うて上ろうかとぬれ縁に....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
蓄えもあろうはずはありませんから、その癇癪《かんしゃく》まぎれに、私の身を裸で一晩涼ませてやるといって、この通りの始末でございます。いいえ、それだけのことを覚え....
申訳」より 著者:永井荷風
きものではない。世の中も変れば従って人情も変った。 大正十五年八月の或夜、僕は晩涼を追いながら、震災後日に日にかわって行く銀座通の景況を見歩いた時、始めて尾張....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
日一物の目に触るるなし。 茫茫支那海、唯見水連遠、満帆三伏風、 日沈暑威減、風転晩涼従、月下船南進、雲涯是呂宋。 (ひろびろと果てしない支那海は、ただ水と空と連....
食道楽」より 著者:村井弦斎
ボンといって美味しい料理になります。今の通りによく煮詰めて出来たスープを漉して一晩涼しい処に置くと凝汁《にこごり》になります。翌日《あくるひ》凝汁の上へ浮いた脂....
私本太平記」より 著者:吉川英治
がいつまで長い。 終日の黒けむりだ。日輪の所在もよくわからない一日だった。ただ晩涼の風がそろそろ葛西ヶ|谷にも冷たくなり出していたのである。 高時はすでに、....
私本太平記」より 著者:吉川英治
なく、反撥をおぼえた。思い上がった主顔を目に見るような気がされてくる。だが、ただ晩涼の川風と、庭の蛍だけは、いささか、それをなぐさめるに足るものだった。 「お。....